牧物わくアニ

□気付いた思い
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今日もアカリは変わらず俺の所に来てくれた。
それは別にいい。話しをするのも嫌いじゃない。


なのにアカリの話しを聞く度、俺の気持ちは沈んでいく…。



本当に何なんだろうか…このモヤモヤした気持ちは…。




自分の事なのにまったく分からない…。
落ち着かせようにも抑えがきかない…。





「魔法使いさん?聞いてます?」
「………うん」



あぁ…まただ……。




また、俺の中でモヤモヤした真っ黒いモノが大きくなる…。





「それでね?ジュリさんが…」






ジュリ…。



その名前は初めて出たけど知ってる。アクセサリー店の芸術家の名前だ。


「それで、この前…」




ねぇ?アカリ…。
気付いてる?キミが今、嬉々として話してる相手。ジュリはキミに気があるんだよ?

ジュリだけじゃない。
この前話してたチハヤも、タオも、ウォンも…みんなキミに特別な気持ちを抱いてる。


アカリはどう思ってるんだろう…。



…痛い。
ズキズキと心が痛い…。


分からない…。本当に分からない…。


「魔法使いさん?」
「…え?」
「大丈夫ですか?何だか痛そうな顔してますよ?」
「……っ!?」


俺と向き合う形で座っているアカリは、テーブルに手をつくと身体を乗り出して俺の額に手をあてる。

「あ、今度は赤くなってます。本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫…だから……」
「そうですか?」



アカリの手が俺に触れた時、心臓が煩いぐらい早鐘を打って黒いモヤモヤしたモノが姿を消した。


あぁ…そうだったんだ…。



アカリが、アカリの事を特別視してる人達の話しをする度、俺の気持ちが沈んでいたのはこのせいだったんだ…。




俺は…





アカリが好き…。



FIN

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