牧物わくアニ

□つごもり祭
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「ねぇゲイル、これで大丈夫だと思う?」

アカリは自分の一番お気に入りの服を着て俺の前に立つ。

「うん…。大丈夫」
「じゃあ、これで決まり!」

今日は冬の月最後の日。
街ではつごもり祭が開催される日だ。つごもり祭は一年の終わりと、新しい一年の始まりを祝うお祭りでコンテストもある。
そのコンテストの一つ、ファッションコンテストに向けてアカリは朝から服選びに奮闘していた。

「わっ!?もうこんな時間!行こうゲイル」
「待って…」
「何か忘れ物?」
「そうじゃなくて…。アカリ、あれつけて…頭、キラキラしたやつ…」
「ティアラ?」
「それ。アカリに凄い似合ってるし…可愛いから…」

アカリは何を着ても何を身につけても似合ってて可愛いと思うけど、ティアラは俺の中で一番だと思ったんだ。

「わかった!ゲイルがそこまで気に入ってくれてたなら、つけて行こうかな!」
「うん…」




つごもり祭はコンテストだけじゃなくて、この日にしか買えない物もたくさんある。
前回買いそびれた物を買えたアカリは凄く満足そう…。


コンテストの方もファッションコンテストを含めて今日開かれたコンテストは、見事すべて優勝していて本当に凄いと思うし、誇らしく思う。

「ふぅ〜」
「お疲れ…」
「後はカウントダウンだけだね」
「今年も、もうすぐ終わる…」

今年は本当に色々あった一年だったと思う。

「ねえ、まだ時間あるし向こうで話ししよう?」

そう言って桟橋ね方へ歩くアカリ。俺はその横を歩く。



アカリに連れて来られたのは灯台の横にあるベンチだった。

「今年は色々あったなぁ…」
「俺も…」
「去年は仕事に追われて鐘どころじゃなかったけど、今年はずっと鐘ばかり…」
「鐘、何個鳴らせた?」
「4個かな」
「もう少し…頑張って……」

鐘を鳴らせるのはアカリだけ…。
せめて俺はアカリが鐘を鳴らすまでの手伝いをしよう…。

「でも良いこともあった」
「良い事…?」
「そう。だって魔法使いさんに出会えた…。好きになって、好きになってくれて…」
「………」
「覚えてる?この場所で告白してくれたよね」
「覚えてる」

忘れるはずない。
あんなに緊張した事なんてなかったし、両想いだと知って凄く嬉しかったのだから…。

「それに、一番良い事は魔法使いさんと結婚出来た事…////」
「アカリ…」

アカリは照れくさそうに笑ってそう言った。

それは俺も同じ…。
ただ流れるだけの日々を変えてくれた。
アカリと出会えて、一緒になれた事で俺は変わる事が出来たんだ…。

「あ!カウントダウンが始まるよ!時計塔に行こう」

アカリに腕を引かれるまま走って時計塔に行く。



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