牧物わくアニ
□迷子に注意
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「ぁ……」
「ゲイル?」
アカリと結婚して、アカリの家に住むようになった俺は自分の家から持って来た魔法薬の本を読んでいた。
今のページを読み終え次のページを読み始めた時、重要な事に気付いて声を上げる。
俺の小さな声に何事かとコーヒーを淹れながら反応するアカリ。
「いや、新しい魔法薬調べてた…だけど……」
「だけど?」
はい。と俺の前に淹れたてのコーヒーを置いてアカリも向かいに座る。
「この魔法薬にはタムタムダケが必要、みたい…」
「タムタムダケ?」
「そう…。タムタムの森でたまに見付かるキノコ…凄く、珍しい…紫色にピンクの斑点模様のキノコ」
凄く珍しいキノコだからなかなか見付からないし、タムタムの森にしか生えてないのも悩みの種。
「そんなに落ち込まないで!…ああッ!!忘れてた!マリンバ農場から新入荷の手紙が来てたんだった!」
「買い物?」
「うん。ちょっと出掛けて来るね」
「分かった、気をつけて…」
「ありがと!行ってきまーす!あ、サンデー連れてくね」
「了解…」
バタバタと慌ただしく準備をして出掛けて行った。
『サンデー』というのは馬の名前で、日曜日に生まれたのが名前の由来だとアカリに教えてもらった。
キレイな白い毛並みの大人しい子。家畜コンテストでも優勝した自慢の子だって言ってた。
「さてと…」
アカリの淹れてくれたコーヒーを飲み干し立ち上がる。
俺の仕事はアカリの仕事の手伝い。
「」畑の水まきと…動物たちを外に出すんだっけ……
自分のやるべき事を確認してジョウロを片手に家の外へ出る。
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