05/05の日記

14:09
19歳のおもいで
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タイトルを見て仔XSのお話だと思われた方すいません違います(釣るつもりではなかったです!)

これはわたくしがうら若き大学生の頃、友人たちとの旅先で実際体験したことをツイッターで呟いてたら、ボスとスクたんに変換され激しく禿げたので書いてみました

※嫁は出てきませんが、ボスが妻帯者設定です
※ボスがだめだめな中年男です

以上
大丈夫な方だけどうぞ!










 リゾートホテルのフロントは、都会にあるホテルとは違い、深夜にチェックインする客もなく、ラウンジの営業時間が過ぎる頃になると、ロビーにはぱったり人がいなくなる。
 モーニングコールの依頼や、タオルを余分に貸して欲しいとか、近くにコンビニはあるかなど、客室からの電話が鳴ることはあるけれど、それもせいぜい一晩で2、3本程度だ。
 だからフロント業務の夜勤は端で見るほどきつくはない。その割に時給がいいので、オレみたいに夏休みを利用してバイトをしてる大学生にはありがたい。あぁ、ちなみオレの名前はスクアーロ。

 奥にある事務室兼スタッフルームにはデスクやコピー機などに混ざって長椅子が置かれてあって、そこで仮眠できるようになっている。
シフトは午後11時から朝の6時まで、2人1組と決まっているので、どちらか1人が起きていれば、もう1人は眠っていられるというわけだ。
だから勤務中何事もなければ、3時間眠って6時間分のバイト代が入ってくるわけで、学生のバイトは進んで夜勤を希望する奴が多かった。

 ただし、2人のうち1人は必ず社員と決まっていたので、組まされる社員によっては3時間の仮眠をもらえない場合がある。
オレたちバイトの間では、それを『ハズレ』と呼んでいた。
『ハズレ』の日は3時間の仮眠どころか、6時間ぶっ通しで仮眠し続ける社員を横目に、電話番や報告書を作成しないといけない。

 けど、ある時期からオレがその『ハズレ』専門みたいになってしまった。
オレ以外の奴らが割のいい夜勤に勤しんでいる中、今夜もオレは―――。







「…もぅッ、やめろよ、誰か来たらどうする気だぁ」
「誰も来ねぇよ」
「つーか、壁ドンとかやめろって!」
「…なんだ、壁ドンて」
「か、壁ドンってのは、こう…、男が女を壁際に追い込んで、逃げられないようにして…、って説明させんな!」

 自分で言っておきながら、途中で恥ずかしくなったオレは目の前の男から顔を逸らした。ボタンを外されたシャツの間から入りこんだエアコンの冷気が肌をさす。

「逃げられないようにして、それからこうするのか?」
「ッ!!」顎を掴まれたと思った時には、もう唇をふさがれていた。

「んんっ!……んッ、」

 まったく、いつも寝てばっかりのくせに、こういう時だけは素早すぎる!
 オレは壁に押しつけられたまま、ほとんど無理やりこじ開けられた唇から入ってきた舌に口の中を掻きまわされ、がら空きだった股間を太ももで強く刺激される。

「ん、は……っ、んっ…!」

太ももはやがて手のひらに変わり、制服のズボンの上からそこを執拗に弄られて、いよいよ本格的にヤバくなってきた。

「…ぃッ、、だ…っ、ダメだってっ!!」

オレの首筋に顔をうずめていた男は、その声に驚いたのか、ゆっくり顔を離すとオレを見た。そしてそのまま何も言わずにじっと見つめる。

「そ、そんな顔したってダメなもんはダメだぞぉ」
「………」
「だって、誰か来るんじゃねぇかと思うと気が気じゃなくて集中できねぇ」

どうしてオレがこんな言い訳をしなくちゃならないのかと思いながら、それでも気がついたら謝っていた。
「ごめん…」





 オレの目の前にいるこの男こそ、『ハズレ』社員、XANXUSだ。

 一体なぜオレが30近くも年上の彼とこんな関係になってしまったのか。
先に言っておくが、オレは完全なノーマルだ。XANXUSと出会うまでは。それは多分XANXUSも一緒だったと思う。
なにせ彼は結婚してるんだから。

 今となってはどっちが先に好きになったのかさえあやふやで、その話になるといつもお互い相手が先だと言い張って、結局水掛け論になってしまう。
 でもオレは覚えてる。
2人で夜勤を終えた何度目かの朝、初めて車で送ってくれた時、先に「好きだ」って言ってキスしてきたのはXANXUSの方だって。
 まぁ、オレも拒みはしなかったけど…。

 
 XANXUSは社員と言っても、このホテルの経営者一族で、本来ならフロント業務をするような人間じゃない。
バイトのオレには詳しいことはわからないが、噂では、経営に行き詰まった先代が、融資をしてくれた先の娘とXANXUSを無理に結婚させて、それからいろいろおかしくなったって聞いたけど、ほんとのところはわからない。
 ただ、今の社長はXANXUSの奥さんで、彼はその社長の言葉を無視して現場で働いてるらしい。

 けどXANXUSはそういう自分のことをほとんど話さないし、オレも訊いたりしない。
 初めて彼を見た時、強面の中年という印象の他に、頬にひどい痣みたいな傷があって驚いたけど、こういう関係になって知ったのは、頬だけじゃなく身体にはもっとたくさん傷があるってこと。
 考えたら、愛想が悪くて裏家業みたいな風貌のXANXUSが接客業に就いてるのは変な感じもするけど、オレはそのことも訊かない。いつかXANXUSの方から話してくれるならそれでいいし、話したくないなら、それはそれでかまわない。

 そんな感じで向こうには奥さんがいて大学生のオレと付き合ってるんだから、これは世間でいう不倫って関係なんだろう。









「XANXUS、怒ったのか?」

彼はオレから離れ、長椅子に腰を下ろした。
そうしてテーブルの上にある煙草を取り火を点ける。

「おまえ俺が嫌いか」
「なんでそうなるんだぁ!嫌いとかそういうことじゃねぇだろ」
「じゃあどうして嫌がる」
「どうしてって、誰かに見られたらどうするつもりなんだよ」

オレの言葉にXANXUSは、ただ煙草の煙を吐き出すだけで答えようとはしない。
ほんとうにXANXUSが何を考えているのか、オレは時々わからなくなる。
隠さないとだめな関係だってわかってるはずなのに。それでなくてもいつもいつも2人が同じシフトだから、周りの同僚や、何より社長…、奥さんに怪しまれないか心配だっていうのに。

「なんで黙ってるんだよ。嫌いなわけねぇだろ!けど……。あんた大人なんだからわがまま言うなよっ」

思わずオレは声を荒げてしまった。
夜勤の時は2人っきりで部屋にいて、そりゃあオレだって変な気分になることもあるし、正直いちゃつきたいと思うこともある。
けどオレたちは仕事中で、いつ誰が来るかもしれないから理性で我慢してるっていうのに、50前のこの男は、毎回毎回こうやって本能のままに襲ってくる。
まじでやってらんねぇ。



「―――げるか…」

突然XANXUSが何かぼそっと呟いた。

「え?なんて?」

オレが聞き返すと、彼は自分の吐き出した煙りに目を細めながら、もう一度口を開く。

「……2人で、逃げるか」


――どうして…、こんなふうに子どもみたいになんでも思いつきで言ってしまうんだろう。
できるわけのないことを。

「…ばか…。何言って…、」


『リーン』その時、フロントの呼び鈴が鳴った。

 オレは慌ててシャツのボタンを留め部屋を出ると、カウンターの向こうに2、3時間前に出かけて行った女性のグループが立っていた。

「すみません、502号室のキーを…」
「お帰りなさいませ」努めて平静を装いながら客にキーを手渡す。
すると、別の女性がオレのシャツのボタンを見ながら言った。

「あれ〜?もしかして仮眠中でした?」

慌てていて全部留める余裕がなかったようだ。

「あ、はい。すみません」
「や〜ん!かわいいっ!私ぃ、別に怒ってないから謝らなくてもいいですよ〜!」

彼女は酔っているのか、カウンターから身体を乗り出そうとしたので、オレはとっさに身を引いた。
するとまた別の女性が彼女の腕を掴む。

「ちょっと!やめなさいよ。彼、怖がってるじゃない」
「どうして〜?ねぇ、ねぇ、今から私たちの部屋で一緒に飲みませんか〜?」
「あっ、いいね、それ!ね、ちょっとだけ付き合ってもらえません?」

 なんてことだ。
キーを受け取った客まで酔っ払いに同調するようなことを言い出して、オレは若干焦りだした。
客に対してキレるわけにはいかないし、しかも向こうは酔っている。

どう言って追い払おうかと考えていると、突然スタッフルームから咳払いが聞こえ、カウンターの客は一斉に少し開いたドアの奥に視線を移した。

「あ……もう1人…」

 誰かがそう呟く中、XANXUSが部屋から出てきた。
さっきまで緩めていたネクタイは、胸元できっちりと結ばれている。

 XANXUSは、あ然とするオレの隣に立つと、低くて、それでいてよく通る声で言った。


「誠に申し訳ありませんが、我々は規約でお客様とご一緒させていただくことはできないことになっております。きっと彼自身は、すぐにでもこのカウンターを飛び越えたいと思っているでしょうが」

そう言って頬を少し緩めてみせると、彼女たちは笑いだした。






「お仕事の邪魔しちゃってすみません、おやすみなさい」
「ちょっとぉ、枯れ専の私の心臓ヤバいんですけど〜!」
「メアド聞いとくべきだったかな」

 賑やかに去って行く後ろ姿を眺めながら、ホッと胸をなで下ろすオレにXANXUSが訊いた。

「“枯れ専”てなんだ」
「オレだって知らねぇよ。――そんなことより…」

 やっぱりXANXUSは頼りになる。
――かっこ良かったぜ!
 そう言おうと口を開きかけた時、後ろに違和感を感じた。


「う゛ぉおいっ!あんたオレがさっき言ったこと、わかってねぇのかぁ!」
「恋人のケツをさわるのがそんなに悪いことか」
「だからぁっ、そういうことじゃなくてっ」
「嫌いなのか、俺のこと」
「ッ………、ばかっ!」


 これはもう…、オレが日勤に変わるしかないのかもしれない。








end
5/5
――――――――――――

ちなみに実話は、、
夜中ラーメンを食べて帰ってきたわたしたちが、証明の落とされていたフロントの呼び鈴を鳴らすと、少しの間があって奥から若いフロントマンがシャツのボタンを留めながら焦った感じで出てきました

わたしが何気なく彼が出てきたドアの奥を見ると、もう1人中年のフロントマン(ネクタイを外していた)が見えたんです

しかし友人はキーを受け取り、「仮眠されてたんですか?すみません」と笑顔で言うと、彼は「いえ…」みたいな感じで恥ずかしそうに!!!!!!!
さぁ、
これを読んでらっしゃる皆さんなら、もぅおわかりですね?!

わたし以外の友人は全員腐っていないので、ピュアな目で彼の仮眠を邪魔してごめんね☆って感じだったんですが、わたしはもう、フロントの絨毯に倒れこんでゴロンゴロンしたい衝動を必死で抑えていました

ピュアな彼女たちの肩を掴んで『違うッ!!この人仮眠なんかしてねーし!!!』と思い切り揺さぶりたい気持ちでいっぱいでした!!


 これが、19歳のわたしが初めて三次元ホモに出逢った体験談です

 最後に、わたしたちの名誉の為に言っておくと、逆ナンはしていません



以上

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