☆針谷幸之進☆

□どうしたいの?
1ページ/1ページ

今日はコウが家に来る日だ。まぁ、ほとんど毎日のように来てるんだけど♪
お夕飯の用意をしていたら、すごい勢いでドアが開いた。

「コウ?どうしたの?」

エプロン姿の私が振り向くと、怒っているような、泣きそうな、切ない表情のコウがいた

"どうしたのかな?やな事でもあったの?よし、元気よく…"

「今、ご飯できるからね。もう少しまっ」

いきなり唇を奪われた。
…ん………
全然離してくれない、息が苦しい。抱きしめられて身動きがとれない。
苦しくて押し戻そうとしても、力が違いすぎる。

"何?今日のコウはいつもより激しいよ。"

………………はぁ。
やっと離してくれたと思ったら、

「お前好きな奴いるのか?嘘だろ?嘘だよな」

"なんでコウはこんな事言うんだろう?…え?…まさか"

友達と話をしていて、プリンス佐伯くんの事や、その子の興味のある人の
話に付き合ってはいたけど、私がコウ以外の人を好きだと言った覚えはない。
間違って伝わってるんだろうか?

「やだな。コウ以外に好きな人なんているわけないじゃない。」
「私にはコウだけだよ?」

またキスされる。噛み付くようなキス。痛いくらいに抱きついて、耳元で囁く。

「オレ、お前がいなくなったら生きていけねぇ。ぜってぇ、オレのそばにいろよ」

「うん。ずっとコウのそばにいるよ」

「オレさ、噂、聞いたんだ。たくさん好きな奴がいるって。お前にはオレだけだと思ってたから」
「早く確かめたくて、急いで帰ってきた」

"いつも俺様なくせに、コウったらこんな時は素直なんだから"

コウが可愛くて、愛しくてしかたない。今度は私からぎゅっと抱きしめて、

「コウ、愛してるよ。他の男なんてカスだよ。全然興味ない」

「オレも、愛して、じゃなくてーー。お前はオレ様の物だ。心も体も、全部だ!誰にも渡さねぇ」

「そうだよ?でも愛してないの?私は物なの?」

「ちがっバカ!言わすな。今日は朝まで寝かさないからな。覚悟しとけよ」

と言ってお姫様抱っこをするコウ。急な浮揚感に眩暈がする。

「…あ、ちょっと待って。お夕飯の支度が…」

「そんなの関係ねぇ!…あれだ!…その…愛してる」

"コウ…"

…………………

「お前のベッドってさ、固めだよな。スプリング。オレ、結構好み」

そんな事を言いながらベッドに腰掛けそのまま抱っこされている私。
コウは私の髪を指にくるくる巻いて遊んでいる。
時々キスしたりじゃれあったりしてるうちに、お夕飯の事なんてどうでもよくなっちゃった。
今日はコウの好きにさせてあげよう。
朝までだって付き合うよ。


「愛してる」

「愛してる」

その後は言葉はいらない。
コウの優しい口付けが降りてくる。



…エピローグ…


私を抱きしめてすやすやと寝息をたてるコウ。幸せなひととき。

"私にはコウだけだからね!"

眠るコウの唇にそっと唇を重ねてそう思った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ