☆針谷幸之進☆

□親友告白
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今日のデートも楽しかった。コウと軽くキスをして別れる。
家に入ろうとした時、後ろに誰かの気配を感じた。
コウが戻ってきたのかな?
コウ?と言って振り返ると、そこにいたのは翔太。
泣きそうな顔で私を見ている。

「翔太?どうしたの?」

「先輩」

「何?」

「ハリー先輩と付き合ってるんですか?」

キスしてるの、見られちゃったんだ。

「付き合ってるって言うか、普通にデートしてるだけだよ?」

「先輩、僕ともデートしてますよね。」
「かなり頻繁に」

「うん」

「なんでハリー先輩とキスしてるの?」
「僕にはした事ないくせに!」
「僕は後輩だから、先輩にとっては恋愛対象じゃないの?」

言葉に詰まる。
翔太の事は好きだけど、コウと比べた事もなかったし、デートも
誘われて、楽しいから行くんだけど…恋愛対象。考えていなかったかも。

「僕だって先輩の事好きなんだよ」
「デートの帰り道何度もキスしたいって思った」
「どうせ気付いてないんでしょ?先輩はおとぼけさんだから」

「ごめん。翔太はかわいい後輩で、デートも楽しいし好きだよ?」

「先輩、わかってない!」
「僕の好きは先輩の言う好きとは違うんだからね」

「え…。うん。わかった」

「わかってないじゃん。こういう好きなんだよ」

いきなり抱きつかれてキスされる。キスが止まらない。
やめて、と言おうと開いた口に舌が入れられる。
コウともした事のないキス。
しばらく動けなかった私だけど、やっと意識が正常になり、突き放す。

「翔太…」

涙が止まらない。私はただ、普通にデートしてただけだったのに
翔太にこんな事をさせてしまうほど追い詰めてたんだ。
自分が情けなくて、翔太に申し訳なくて…

「ごめん。先輩」
「泣かないでよ。」
「でも、僕の気持ちはわかってくれたよね?」
「ハリー先輩より、僕の方が先輩を好きだって自信あるからね」
「忘れないでよね」

悪びれる様子もなく翔太は言う。
私はどうしたらいいんだろう?翔太はかわいい。でもコウとの付き合いは
一年の時からで軽いキスなら何度もしてる。
でも付き合うとか言われた事はないし、こんな風に気持ちをぶつけられた事もない。
何も言えない私に翔太はもう一度キスをする。

「ハリー先輩なんてやめちゃいなよ」
「先輩、僕と付き合って」

雰囲気に流されて頷きそうになった時。

「天地、てめぇ。」
「おまえにこいつは渡さねぇ」

私はコウに抱きしめられていた。

「コウ」

「おまえ、何キスされてんだよ。毎回家の前まで送り届ける意味ねぇじゃん」

「ごめん。突然で何がなんだかわからなくて」

また涙がポロポロこぼれる。

「こいつを泣かせた事、許さねぇからな」

「ハリー先輩には負けませんから」
「僕は先輩に告白しました。先輩が好きなんです」
「だからハリー先輩には負けません」
「じゃね、先輩、僕、帰るから」
「返事まってるからね、ばいばーい」

沈黙が続く。コウは私を抱きしめたまま、動こうとしない。
私も動かない。突然の後輩からの告白。キス。
コウが戻ってきて抱きしめられてる。
コウは私を渡さないって言ってた。私、期待してもいいの?

「なぁ」

「うん」

「天地はおまえに告白したって言ってたよな」

「うん」

「今さらだけど、オレも言ってもいいか?」

「うん」

「オレはおまえが好きだ」
「一年の時からずっとだ」
「帰り道、キスしたり、してたろ?あれでオレ安心しちまってた」
「おまえはオレに惚れてんじゃねぇかって」
「でもやっぱ、ずりぃよな。気持ち言わねぇのって」

「コウ」

「好きだ。オレと付き合ってくれ」

「ありがとう。コウ。」
「私もコウが好き」
「やっとわかった。自分の気持ち」

コウとのキス。初めての大人のキス。

「ちょっと待て。やっとわかったってどういう意味だ?」
「わからねぇのにキスしてたのかよ」

「だって。楽しくてつい」

「おまっっ!」
「呆れてものも言えねぇ」
「あぁーあ。まったく。信じらんねぇやつ」

「ごめん。ふふ。」
「これからはちゃんと意味わかってるから」

「ほんとにわかってんのか試させろ」

いっぱいキスして、抱き合って、人目も気にせずまたキスして
今度は私が玄関を開ける所まで確認して

「これからはちゃんと確認してから帰る」
「おやすみ」

そう言って帰って行くコウの後姿を見送った。

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