番外編

□やきもち
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中岡の思いがアオイに通じてしばらくたったある昼下がり。 




「ふん、ふん♪今日は慎ちゃんの大好きな大根の煮付け。家庭科真面目にやってて助かった。」

アオイの時代には自動調理マシンがあるが家庭科の授業では包丁で料理を作っていた。食べるのが好きなアオイは料理も実は好きだった。 


「だいっこん、だいっこん♪」

歌いながら野菜置場を覗きこむが・・・しかし。 



「あれ?大根もうなかったか。買いに行かなきゃ。」

とたとたとた。 

ガラリ。 

「慎ちゃん、ちょっと大根買ってくるね?」


アオイは刀の手入れをしている中岡にそう告げた。 
「一人じゃろ?わしも、一緒に行くきに。」 

「大丈夫だよ。すぐそこだし。慎ちゃんも今忙しいじゃん。」

「ほうがか?それじゃあ、気を付けて行くんじゃぞ?」 


「もう、子供じゃないんだから。すぐに戻るよ。」 

アオイは子供扱いされ頬を膨らませたが愛用のカバンを持って「いってきます。」と行って出かけた。



ざわざわ。 

「おっじさん。大根五本ちょうだい。」

「よぉ。アオイちゃん。旦那は元気かい?」

「やっだぁ。旦那だなんて。元気ですよー。もー、おじさんったら。」


バンバン。 

アオイは赤くなりながらおやじの背中をたたく。

「いててて。 
元気ならよかったよ。」


ここの八百屋は江戸出身のおやじが営んでおりアオイのいきつけの店ですっかり常連である。始めはアオイの容貌に怪しんだがアオイの態度に今ではすっかり慣れてしまった。

「はいよ。大根五本だよ。これおまけだよ。旦那に食わしてやんな。」


おやじはそう言うと茄子を2つ大根と一緒に包む。 

「ありがとおじさん。また来るね。」

「おう。」

アオイが店を後にしようとした時 

「あれ?一ノ瀬さん?」 
後ろからの声に足を止め後ろを振り返った。


「あっ、沖田さん。」

「お久しぶりですね。買い物ですか?」

「はい。沖田さんは?」 
「私はこの先の甘味屋に行く途中なんですよ。
そうだ、一ノ瀬さんも一緒に行きましょうよ。」 

「えっ、でも、」

「早く、早く。」

そう言い沖田は断ろうとしたアオイを引きずっていった。






「おいしいですね。」

「はあ。」

沖田は葛切りを口いっぱいに頬張りながら言った。 その食べっぷりにアオイは頷くしかできなかった。


「一ノ瀬さん、食べないんですか?」

「い、いえ。私はお腹いっぱいでして。」

沖田を見ているだけでお腹が膨れ食べる気にはなれなかった。 


「ふぁひへばほほにふんてひゅんてひか?」

「口の中のものを飲み込んでから言って下さい。」

口を膨らませて言う沖田にずばっと切り捨てる。 

「ごく。そういえば一ノ瀬さん、どこに住んでいるんですか?」

アオイはお茶を飲む手を止めた。 

「このすぐ近くですよ。」
「一人で住んでいるんですか?」


アオイは沖田の笑顔の中に見え隠れする疑惑の光を見た。 

「何故そんなこと聞くの?」
アオイの質問に沖田が答える前に誰かにアオイは腕をつかまれた。 



それは、中岡だった。 

「アオイ、行くぜよ。」

「えっ、ちょっ、」

中岡は一言そう言うと沖田には気にも止めず店を出て無言で家までアオイをつれていった。




がらがら。 

どたどたどた。 


「慎ちゃんどうしたの? 少し怖いよ。腕も痛くなってきた。」 

とん。 

アオイの言葉に中岡は何も答えず壁にアオイを押しつけた。

「ホントに何もわからんがか?」

「だから、何が、んっ、ふぅ。んー!」

アオイが最後まで言う前に中岡の舌がアオイの口内に入ってきた。


くちゅくちゅ。ちゅっ。 名残惜しそうに唇が離れ銀の糸が紡ぐ。 

「わからんなら分からせるまでぜよ。」

中岡はアオイのワンピースをたくし上げ下着の上から胸をもんだ。 

中岡の雰囲気にアオイは抵抗した。 

「無駄ぜよ。」

中岡はアオイの手を片手で上で一まとめにした。 

ぴちゃぴちゃぴちゃ。 

「あぁ、ふ・・やぁあ。」
「襲われて感じるなんて、アオイはまっこと淫乱ぜよ。」

「そんな、こと、ああぁ。」

くちゅ。 

「こっちも濡れてるきに。」

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