シャーマンキング

□子狼ホロ。
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「・・・よう?」




初対面のはずのこいつから、葉の名前がでてくるなんて誰が思う。

誰も思うはずがない。

現に、俺は思わなかった。




「おお、ホロホロかあ!久しぶりなんよ〜」

「ああ!ひさしぶりだな!」



2人の様子からして、単に知り合いというだけではなさそうだ。


かなり友好関係があるようにみえる。



ホロホロの尻尾が大きく楽しげに揺れていて。

それが何よりの証拠だった。






「ここって、ようの家だったんだな。全然わからなかった」


きゃっきゃと嬉しそうに騒ぐホロホロ。


「オイラもまさかホロホロが居るとは思いもしなかったぞ」


そんなホロホロを葉は軽々しく両手で持ち上げる。

前よりでかくなったか?などと言いながら。



「へへー蓮が連れてきてくれたんだぜ」

「おーそうなんかぁ?蓮」

「・・・・・・」

「蓮?どうしたんよ」



・・・どうしたこうしたもないだろう。



「貴様らは何だ、前から知り合っていたのか」

「ようとは昔、あったことがあるんだ」



俺の問いかけにホロホロが答える。




「そのとき色々あそんでもらったんだぜ!」

「いろいろ、か」

「あと、色々おしえてもらった!『すーぱー』ってばしょとか」

「ほぅ・・・」

「たしざんのやり方とか、ひきざんのやり方とか・・・」



ホロホロはあれこれと葉から教わったことを俺に伝える。

一生懸命な目をして、尻尾を大きく揺らしながら。

葉から教わった内容に誇りでも持っているかのようだ。



しかしまあ・・・・・・。



「幼稚レベルだな、貴様の教えることは」

「んーオイラあんまし勉強は得意じゃないかんなぁ」

「足し算や引き算など教えるほどのものじゃないだろうが」

「蓮は難しいこと教えそうだなあ、小学生に高校の問題とか普通にだしそうだぞ」

「いくら非常識な蓮もそこまでしないってば葉くん!」

「小山田まん太、その言い方には悪意を感じるぞ」



馬孫刀の刃を軽く見せると、まん太は顔を真っ青にして葉の後ろに隠れる。


「ち、違うよ!?そんな、悪意だなんてあるわけないでしょー」

「・・・ふん、まぁいい」




腹ただしさは収まらないが、コイツ相手に暴れてもしょうがない。


何より今、この場にはホロホロがいる。

その自覚が何故だか俺の理性をくい止めた。




「れん、おれ腹へったー」


無邪気に葉のもとからホロホロが駆け寄ってくる。

「・・・ああ、もう朝飯の時間だったな」


「「ああっ!!」」


「!?な、なんだ?」



いきなりの葉とまん太の反応に驚きつつもホロホロは問う。


当然だろうな。

こいつはまだ、まだ何も知らないのだ。



これから出会う人物を。



ああ、会わせずに済むのが本当は一番良いのだろうな。

・・・こんなに小さいというのに。


こんなに小さいのに、圧倒的な恐怖を感じさせられることになるなんて。

続く。
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