シャーマンキング

□スポット
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「ありえねえ、ありえねえよ。普通あんな・・・」


所かわって屋上。


耳を引っ張られここまで来たホロホロは、購買のパンを食しながら文句をいっている。


うざったいことこの上ない。






「文句をいうならもう起こしてやらん」


「いや、起こしてくれるのはありがてえけどさ・・・」


「ならばなんの問題がある」


「起こし方だよ、起こし方」


もっといい起こし方があんだろ、と付け足し缶ジュースを一気に飲む。






「あれが一番効果的で良いと思ったのだが」

「愛がねえよ、愛が」

「馬鹿か」



愛なんて、そんなもの。

そんなもの、あっても出すことなどできない。



俺はこういう性格だから。





「俺が起こしてやる時は愛が溢れまくってるだろー?」


そういって隣にいるホロホロは俺を覗きこんでくる。


「知らん」


一瞬目が合い、つい顔を逸らす。

俺とコイツは同居していて、毎朝コイツは俺を起こす。

そこまでは、まだ、問題ないのだ。

問題はその後。





コイツの起こし方には問題があって。

しかも本人は当たり前のようにソレをしてきて。

問題があるという自覚がまったくない。





「そんなに嫌か?チューで起こすの」



・・・この空気の読めなさといたら絶望的だ。






「貴様、そういう言葉は露骨に出すな」

少し睨んで奴を見る。



「いいじゃんか別にー」

ヘラリとした顔でこちらを見て、本当のことだし、と付け足す。



こんなやりとりが、毎回必ずと言っていい程行われているのだ。








「蓮のこと好きなんだから」





そして、必ずこのセリフも付いてくる。




俺よりも一回り大きな体が、俺を包みこむ。





俺は抵抗せずに大人しく抱かれててやる。

ゆっくりと頭を撫でてくる動作に、気持ち良さを感じながら。






「あーなんか今すげえ幸せ」


「・・・そうか」


「蓮は?」


「聞かなくともわかるだろう」




すぐ横にある顔の耳に口を近づけて、貴様と同じだと囁いた。


奴の頬が少し赤くなったのを俺は見逃さなかった。





「マジで蓮大好き」



赤らめた顔で笑顔を向けるホロホロ。



この顔は、俺にしか向けられることはない。

勝手な考えかもしれないが、俺はそう思っている。



コイツの隣は、俺しかいることは許されない。

貴様の横は永遠と俺だけのものだ。





そうだろう、ホロホロ。

貴様もそう思っているだろう?







「・・・俺も欲が深くなったものだ」


「ん?」


「いや、なんでもない」


「そのわりには何か楽しそうっつーか、嬉しそうっつーか」


「ああ、貴様のことを考えていたからな」


「え、ちょっ・・・今の反則だろ//」





照れた顔も、笑った顔も、間抜けな顔も。





全部全部、俺だけのもの。






ここは、俺だけの場所。





end
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