シャーマンキング

□湿気
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「なんでだよ〜!れ〜〜ん〜!」



これも毎回のこと。


俺がコイツの誘いを断るといつもコイツは駄々をこね始める。



「なあ?いーだろ?たまにはさ!ほらアレだ、スキンシップ!!」


「そんなものいらん」



面倒だ。

コイツはこうなると子供よりも扱いが大変になる。




「なっ・・!」


ふいに、後ろから抱きしめられた。



「馬鹿者!!離せ!!」

「いや。」


ジタバタと暴れ、ホロホロの腕から逃れようとするが、なかなか逃れられない。

がっちりと頑丈に腕をまわされている。


「入るんなら一緒にさ〜・・・」

「絶対ダメだ、それ以前に許さん」



だが俺もそう易々と諦めない。

さっさとこのジメジメしたのをどうにかしたいのだ。

こんな密着状態、余計暑苦しくなる。




だが。



「・・・貴様、何かしたのか」


「あ、やっぱわかった?」


さすが蓮!!といいニカッと笑うホロホロ。




「オーバーソウルか・・・」


そういった俺の言葉に頷く。


そうだ。コイツは氷を扱うシャーマン。

少し巫力を工夫して使えば、簡単に涼しくできるんだ。



「どーだ?蓮。」

挑戦的な笑みをうかべ、俺の顔を覗き込む。


俺は抵抗するのをやめ、大人しく腕の中におさまった。





「へへっ、やった」




おさまった腕の中で見上げると、嬉しそうに微笑むホロホロの顔が目に映る。




「まあ、貴様にしては良い判断の行動だ」

「お、マジで?」

「あぁ」




ひんやりと伝わる微かな冷気。

それに心地よさを感じながら、ホロホロの胸に顔を寄せる。

その行動に気づいたのか更に腕の力をこめて俺を抱きしめるホロホロ。



正直少し頬に熱が集まった気がしないでもなかったが、あえてそこには触れないでおく。





気づけば俺はそのまま意識を手放し、目覚めた時には奴の腕の中で、窓からオレンジに染まる夕焼けをみた。




end
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