シャーマンキング

□出会いは始まり
2ページ/4ページ

今までの俺ならば、こんな奴気にせずにいられた。

【今まで】は。


だが今の俺はそのときとは違う、新たな感情をホロホロに抱いていた。






それは、同性の相手に抱くべきではない感情。


恋愛感情というもの。




信じがたいことだが、これはまぎれもなく恋愛感情。




気づいてしまった。

いつもホロホロを目で追っていたこと。




気づいてしまった。

いつもホロホロのことを考えていたこと。




気づいてしまった。

俺は、ホロホロのことが好きだということに。



だが、これは異常だ。

同性に恋愛感情を抱くなんて。


こんな気持ちが本人に気付かれてしまったらと思うと、柄にもなくゾッとする。



今の関係より更に悪くなるのなら、せめてこのままでいたい。


心からそう思った。



だが奴としゃべっていると、つい言ってしまいそうになるのだ。

この気持ちを。




だから俺は、コイツと距離をとろうとしてたんだ。

それなのに・・・・っ!!





「やっぱ図書館とか行って本で調べた方がいーかもな」


無神経に接してくるコイツがムカつく!!


「馬鹿か・・・そんなもので見つかるわけなかろう」


湧き上がる怒りを堪え、俺はホロホロに背を向け返答をする。



「へーへーそうですねー」


「!?なにをっ・・・!!」


いきなり腕を引っ張られ振り向くと、予想以上に奴の顔が近くて言葉が詰まった。


心臓が不正常に速く脈を打つ。

顔が少し熱くなっているのがわかる。


困惑している俺にはお構いなしにホロホロは顔を近づける。

真っ直ぐな瞳に見つめられ、羞恥から思わず俺は目を逸らす。




「お前・・・なんかこの頃変じゃねえ?」


「別に変ではない、貴様の勘違いだ」


「いや、ぜってえ変だって!」


「変ではない!早く腕を放せ!」


引っ張られる際に掴まれた腕は、まだそのまま。

振り解こうと力をいれて振り回すが中々振り解けない。

この馬鹿力男めっ!!



「こ、の・・・!!無駄に力だけありおってっ」


「無駄とはなんだ!無駄とはっ!これでも心配してやってんだかんな!」


「・・・っ!」



卑怯だ。

貴様は卑怯者だ。





次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ