シャーマンキング

□スポット
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ぽかぽかと日が差す窓際で、あいつは授業中にも関わらず爆睡している。



こんなことだから、いつもテストで泣くはめになるのだ。

頭の中でテスト前になって泣きついてくる様が安易に想像できる。

そのまぬけな姿を思い出し、少し愉快になった。















ースポットー







授業の終了合図である鐘が鳴った。


席に座っていた生徒達はそれぞれ行動を起こし始め、教室が賑やかになっていく。




「おい」


俺は隣の席にいる男に声をかけた。


相手は無反応。



「・・・おい」



「ん・・・、もうちょい」



「もう授業は終わったぞ」



「ん・・・」




完全に起きていないな、コイツ。

返事が生返事だ。




「飯の時間がなくなるぞ」



「・・・あー・・・そっか・・・」



「・・・・・・」



こいつ、いつも朝は馬鹿早い時間に起きて電話をかけてくるくせに。

毎朝こいつは俺の携帯に電話をかける。

馬鹿でかい声で、第一声におはようといって。

朝を得意としない俺にはうざったいことこのうえない。





余程眠たいのだろうか。

何回声を掛けてもおきない。

いつもならば、このくらいでもう起きているのだが。




たった今午前中の授業は全て終了し、昼食をとる時間へとなった。


生徒はそれぞれ食事をとる準備をしている。

食堂に行く奴もいれば、購買でパンなどを購入する者もいる。

ちなみに俺は家から持参の弁当だ。


・・・にしても、全然起きんな、コイツ。










起きる気配が全然ないこの男。

持ち前の馬鹿面で、赤子とでもいうような無邪気な寝顔をさらしている。




不覚にもその表情に愛おしさが込みあげてきた。


俺は、こんな馬鹿で単純な男に完璧に惚れこんでしまっているのだ。


どこかいいのか、などと聞かれても答えはしないが。



つい無意識に奴の髪に手を伸ばす。

軽く指を髪に通してみたり、指にくるくるまいてみたり。


見た目固そうな水色の髪だが、触ると意外に柔らかい。



「ホロホロ」




水色の髪から耳へ手を移動。


そしてそのまま耳を掴み、俺は教室のドアへと向かって進みだす。





「狽「だだだだっ!!いってえー!!」



引きずりだした瞬間に苦痛の叫びが聞こえたが、無視。


そのまま耳を引っ張りながら廊下を進む。

目的地は屋上。




「ち、ちぎれる!!耳取れる!!」


「うるさいぞホロホロ」




ようやく起きたと思ったら、このうるささ。






俺に耳を引っぱられながら後ろを歩くホロホロ。



寝起きだからかいつもに比べ少し声が低かった
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