シャーマンキング
□予感
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「明日は雪が降る」
「・・・・は?」
***予感***
民宿『炎』にて縁側に座りこんでいる水色頭の男。
そいつがなんの前触れもなくいきなりポツリと呟いた。
独り言のつもりでいったのだろう。
しかし、そんなに遠くない距離にいた俺にははっきりと聞こえたのだ。
「・・・なんだ、いきなり」
「ん?」
聞こえてた?といいながら俺を見るホロホロ。
今俺達は、葉と鬼嫁に留守番を頼まれている。
たまたま暇潰しに寄っただけだというのに、面倒なことを頼まれてしまったものだ。
俺は読んでいた本を閉じ、ホロホロに視線を送る。
すると、ホロホロは顔だけこちらに向けて言う。
「明日は雪が降るっていったの」
「だから、何故いきなりそんなこといったのだ」
「そう思ったから」
小学生並の単純な答えが返ってきて思わず溜め息を吐いた。
まあ、コイツはこういう奴だからしょうがないか。
「あ!?なんだよその反応は!」
俺の態度が気に障ったのか、ホロホロは声を張り上げる。
ついさっきまで顔だけしか向いていなかったが、体をこちらに向けて乗り出すような勢いだ。
「別に、貴様らしい単純で馬鹿な答えだと思ってな」
フン、と鼻で笑い、見下すようにホロホロを見る。
「だーーーっ!!それムカつくっ!!」
「人を指で指すな」
ギャーギャーと喚く男を無視し、俺は和室に移動した。
そして、和室に常備されている炬燵の電源をいれる。
(たしかに、これだけ寒いんだ。雪が降ってもおかしくないかもしれん)
手を軽く擦る。
大して温かくならぬ冷え切った手を炬燵の中に入れてみる。
電源をいれたばかりで暖まっていない炬燵のなかは、まだひんやりと冷たかった。
(寒い・・・)
そんなことを思いつつ俺は和室を出、縁側へと足を運ぶ。
そこでは、ホロホロが縁側でうつ伏せに寝転がっていた。
「理解できんな。そんなに床は気持ちいいのか?」
「・・・気持ちくねえよ」
俺の質問にうつ伏せたまま答えるホロホロ。
「馬鹿の思考回路は本当にわからんな」
そういって俺は更に足を進め、ホロホロのすぐ横に座った。