その他

□人は見掛けによらない
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「山崎!!」

副長室から土方の大きな声が聞こえてくる。山崎は大慌てで副長室へと急いだ。


「これ何とかしろ!!てめェが拾ってきたんだろうが!!」

そう怒鳴りながら文机に向かう土方の背中には、亀の甲良のようにぴったりと張り付いている三、四歳の男の子の姿がある。
かぶき町で迷子になっていたのを山崎が連れて帰ってきたのだ。

「副長!すみません!!沖田さんが遊んでくれてたんですが…。」

山崎が言い訳をしていると、

「あー、こんなところにいやがった。」

沖田がバズーカ片手に部屋に入ってきた。

「坊主、バズーカの打ち方教えまさァ。ここにちょーどいい的がありやすし。」

そう言って男の子を土方の背中から剥がすとバズーカを的である土方に向ける。

「何やってんだァ!!こいつに餓鬼見させんな!!」

土方の声が響き渡る。
男の子は土方に近付くと再度背中に張り付きすりすりと頬をすりよせた。

「もういい。てめェら邪魔だ。仕事に戻れ。」

部下二人を部屋から追い出すと男の子を背負いながら報告書に目を通していく。

「ふくちょー。」

「ふくちょーじゃねェよ。」

煙草をくわえかけてふと手を止める。子供の側で喫煙はまずい。そう思いゆるゆると箱に戻した。

「ふくちょー。」

男の子が背中で甘えた声を出す。

「ふくちょーじゃねェって言ってんだろーが。……十四郎でいい。」

「えっと…とお…とお…う??」

「………トシでいい。」

そう言うと、

「トシィィィィィ!」

力の限りしがみついてきて首を絞められる。

「くっ…、苦しい。」

「トシィ、遊んで。」

「…キリついたらな。それまでおとなしくしてろ。」




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