土九(原作)

□ハンデをもらって勝ってもなんか嬉しくない
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婚約者だと言う九兵衛からお妙を取り戻すべく、柳生家に決闘を申し込んだ恒道館一行。北大路と対決した土方は、苦戦しながらも勝利をおさめた。そんな土方の前に九兵衛が現れ、新たな決戦が始まった。



「…君は僕をバカにしているのか?疲労や呼吸の乱れ以前に剣に迷いがある。…そんな剣で僕に勝てると思っているのか?一体どーいうつもりだ。」

九兵衛は木刀を両手でしっかりと握り直すと、土方目掛けて打ち込んできた。

激しい打ち合いが続くが攻めているのは九兵衛で、土方は九兵衛の木刀をなんとか受け止めている状態。

しかし九兵衛はスキをつき、自慢の神速の剣で土方の左頬に思いっきり木刀を打ちつける。

土方の出血は益々酷くなり、額から鼻から口から流れる鮮血が、ポタポタと地面に染みをつくっていく。

「君は何をしに来たのだ?」

九兵衛は呆れたようにため息をついた。

土方はハァハァと肩で息をつきながら、流れ落ちる血を拭うと答える。

「俺は借り返しに来ただけだ。」

九兵衛は初めて『すまいる』で会った時、土方の刀にヒビを入れた事を思い出した。
しかし土方は思いがけない言葉を口にした。

「…本当はお前が女か確かめに来た。」

九兵衛はフンと鼻で笑うと、木刀を握りしめ切っ先を土方に向ける。

「で…答えは出たのか?」

「………。」

土方は無言のまま木刀を握り直した。

「その剣の迷い…、とっくに答えは出ているようだな。しかし何なんだ?その大皿は。それだけでかなりのハンデだろう。君が真剣に勝負しても僕は負けない。」

そう言うと九兵衛は土方に向かって行った。




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