アマリリス
□第7章 約束
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2010年2月2日
午後5時
「桜…?」
アマリリスの所長、浅霧ライカの目の前に、一片の桜の花びらが舞った
「まだ2月だぞ?それに、ここは室内…」
ブツブツと呟いていると、アマリリス事務所内に一陣の風が吹く
まるで春一番のような強風
「まさか…」
その風に乗り、無数の花びらが舞い込んできた
そしてそれは収束し、つむじ風のように渦を巻く
「ふふふ…久しぶりね、ライカ。」
花びらの渦が再び風によって吹き飛ばされると、その中心には1人の女性の姿があった
桜の模様があしらわれた淡い緑の着物に身を包み、腰まである美しい黒髪に簪を差して妖艶に笑う彼女
その姿を見て、ライカは笑みを零した
「あぁ、本当に…。久しいな、桜花。お前が再びその着物に袖を通すとはな。」