アマリリス

□第5章 接続閑話
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学校があるけど、そんなの関係ない
だいたい頭痛も収まってない
初めて学校サボったな…と思いながら、私は浜辺に向かう
この町に浜辺なんか1箇所しかないからすぐにわかる

「はぁ、はぁ…」

痛む頭を抑えながら、たどり着いたとき見た光景は、腕を組んだ一人の男性が水面に佇んでいるものだった

「来たか。」
「あの…さっきはありがとうございました。」

あまりにも非現実的な光景で、呆気にとられていたが、なんとかそれだけは声に出せた

「けど…あなたは“何”ですか?」

私が見たイメージに、彼が私を助けるという可能性は含まれてなかった
と、すれば彼はイレギュラーな存在

「我が名はシュウ」

ゆっくりと水面を歩いてくる

「そして…我が意思は、世界の意思。」

威圧感のある声で、彼は述べた

「能力が開花したようだな、未来視よ。」
「未来視…私の事?」

彼は頷き、肯定を示した

「無数のイメージが流れたのは、今日が初めてなのだろう。」

私は頷いた
けど、驚いた
未来が視えるなんて、今まで誰も信じてくれなかったのに

「お前は、我が求める器に最も近い。」

次の瞬間には、彼は私の目の前にいた
そして右手をそっと私の頭にあてがうと、目を閉じるように促してきた
不思議と、頭の痛みが収まる

「お前の見た事のない世界…非日常の世界を見てみたくはないか?お前にはその権利がある。」

彼は―シュウは、私にそう言うと背を向けた

「今のままの生活が良いか?」

私には、わからない

「明日だ。決心がついたら、明日の夜、再びここへ来い。答えはその時に聞こう。イエスなら、お前を非日常に案内しよう。ノーなら、お前の未来視は封印し、元の日常に返してやる。」

シュウはそう言うと、私の前から姿を消した



*‐*‐*

次の日はあいにくの雨だった
どうせ両親は居ないし、この目がなくなるのは勿体無い気がする
それに、非日常にも興味が湧いた
私は、雨の中浜辺へ向かった






藤崎シオン 16歳
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