アマリリス
□第4章 灼熱の夢
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「はい、ありがとうございます。知っている事はあまりないですけど…」
リクは少し考え、答える
「あの8人って、7人は若い男性で、もう1人はスーツ姿の他の7人とは少し違う感じだったらしいです。その、スーツの人って言うのがあたしの中学のときの担任で…」
リクの声は徐々に弱くなった
「無理に話さなくてもいい。」
ライカはゆっくりと立ち上がるとリクの背中をさする
「今から言う事はただの私のお節介だ。耳障りなら無視してもいいし、気に入らなければ私を恨んでもいい。」
ライカの言葉にリクはこくん、と頷いた
それを確かめると、ライカはその先を紡ぐ
「イヤな事は思い出さなくていい。けどな…」
俯くリクを見つめ、ライカは続けた
「忘れる事だけはダメだ。忘れたら…その事実をなかったことにしてしまったら、その先生の存在すらなかったことになるよ。だからさ、傷は癒えないだろうが、胸の奥にでもしまって置くといい。少なくともそれは、先生が存在したという証になる。」
そこまで聞くと、リクはゆっくりと顔をあげ、涙を浮かべたままライカを見る
「残酷な言葉ですまない。上手い言い方が思いつかなくて、な。」
二人の間に沈黙が流れた
そこに今まで聞いていただけのシオンが口を挟む
「あの、リク姉さん。今のはライカさんなりに姉さんを励まそうとしたんだと思います。だから…」
「大丈夫よ」
シオンが言い終わる前にリクが遮った
「正直ね、はじめは酷い人だなー、って思った。あたしの気もしらないで、って。でも、なんか下手に同情されるより気分は良かった。それに、聞いてるうちに声が優しさを帯びてるのがわかったから。だから感謝してる。」
まだ濡れている瞳でにっこりと笑う
「はぁー、シオンといい夜月さんといい…私はそんな出来た人間じゃないぞ。どちらかというと悪いヤツだ。」
ライカはテーブルに置いてある小皿から適当に飴を掴み、口に放った
「ふむ、ミルクか。少し甘いな…」
そのままカメラを取り出す
「これも何かの縁だ。二人そこに並びな。写真でも撮ろうじゃないか。」
「え、あ、それならライカさんも一緒に…」
「気にするな、シオン。再会記念だよ。」
カメラを通して突然の事に戸惑う二人を見るライカ
「さぁ笑って。はい、チーズ」
カシャ
カシャ
カシャ
軽い音が響き、フラッシュが光った
「お、いい笑顔だな。」
再会の喜びか、二人は満面の笑みでそこに映っている
ポラロイドカメラのため、その場ですぐに写真は焼けた
「ほら、いい感じだろ?」
1枚はシオンに、1枚はリクに手渡した
それをシオンはアルバムにしまい、言葉を発する
「「ありがとうございます、ライカさん」」
二人の声が重なった
思わず笑ってしまう
「…あれ?シャッター音3回しませんでしたか?」
「あ、はい。私も3回聞こえましたけど…」
シオンとリクはライカに訪ねる
「ん?気のせいだろ。」
言い切り、ライカはカメラをしまった