アマリリス

□第3章 白と黒
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「はい、覚えています。」

最大の不安要素
それは―

「シュウの能力が全くの未知だったこと、ですね。」
「つまり、そういう事だよ。能力者相手に、その力がわかるか否かはかなり大きい違いだ。シュウの能力を誰も知らない理由は何もみんなアイツに殺されているからではない。アイツは関わった人物から自らの能力に関する記憶を消去もしくは封印する術を持っている。」

だが、とライカはニヤリと笑った

「今回は違う。私はアイツの能力を覚えている。シュウはお前に気をとられて、私まで気が回らなかったのか、もしくは…」

ライカはシオンをじっと見つめる

「シュウの能力以外で消さなくてはいけない“何か”がお前の記憶にあったか、だ。」
「私…名前が思い出せません。」
「は?お前は藤崎シオンだろ?」
「違うんです。私じゃなくて…えーと、夢で出てくる男の子の名前。」

シオンの声はだんだん小さくなっていく

「夢?たしかに、夢が記憶を映し出しているかもしれんが…」

ライカは困ったように考え込む

「お前が1年間見ていた夢か?会話の内容は思い出せるのか?」
「はい、1年間という実感はありませんが、私が起きるまでずっと夢をみてました。会話は、だいたいは思い出せますが、たまにノイズがかかってわからない言葉もありました。」
「そうか、それならシュウの術である可能性は高いな。あるキーワードとそれに関係する記憶を消去ないし封印しているのだろう。」

ライカは立ち上がる

「さて、消された記憶はどうしようもない。シリアスな話はここまでだ。本当は酒でも飲みたいんだが…」

チラッとシオンを見る

「お前は寝起きだしな。仕方ない、お粥でも作ってやろう。立てるか?」

言って、ライカは手を差し伸べた

「はい、ありがとうございます。」

少しフラフラしながら、ライカの手を握り、立ち上がった
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