アマリリス

□第2章 氷の人形
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その写真には、幸せそうな表情のシオンともう一人、少女が映っていた

「この写真くらいだな、お前が満面の笑みでピースしてるの。」

ライカは懐かしそうに言う

「ええ、彼女は…私の母代わりでしたからね。」
「母というよりは姉だろ。お前より2歳上なだけだった。」

ライカは写真から目を離さずに言う

「彼女は…お前に止めて貰いたかったのだろうな。」
「そう…思いたいですね。」

沈黙が流れる
ライカはふと、顔を上げた

「なぁシオン…人が本当に死ぬのはさ、忘れ去られてしまったときなんだと。」

ライカはどこか遠くを見つめるような表情だった

「だからシオン、お前は彼女のことを…」
「大丈夫、絶対忘れません。」

シオンは微笑む
でも、と写真を持って立ち上がる

「こういうのは写真として…形として残しておくものじゃ、ありませんよね。」

そのまま写真をシュレッダーにかけてしまった

「お前…」
「私は、こんなもの無くてもリク姉さんのこと、忘れませんから。」

シオンは笑って言った
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