アマリリス
□第2章 氷の人形
3ページ/28ページ
その写真には、幸せそうな表情のシオンともう一人、少女が映っていた
「この写真くらいだな、お前が満面の笑みでピースしてるの。」
ライカは懐かしそうに言う
「ええ、彼女は…私の母代わりでしたからね。」
「母というよりは姉だろ。お前より2歳上なだけだった。」
ライカは写真から目を離さずに言う
「彼女は…お前に止めて貰いたかったのだろうな。」
「そう…思いたいですね。」
沈黙が流れる
ライカはふと、顔を上げた
「なぁシオン…人が本当に死ぬのはさ、忘れ去られてしまったときなんだと。」
ライカはどこか遠くを見つめるような表情だった
「だからシオン、お前は彼女のことを…」
「大丈夫、絶対忘れません。」
シオンは微笑む
でも、と写真を持って立ち上がる
「こういうのは写真として…形として残しておくものじゃ、ありませんよね。」
そのまま写真をシュレッダーにかけてしまった
「お前…」
「私は、こんなもの無くてもリク姉さんのこと、忘れませんから。」
シオンは笑って言った