アマリリス

□序章
1ページ/1ページ


一人の少女が夜の浜辺を歩く
雨の中、傘もささずに
学校帰りのような、制服のまま

―雨がうるさい―

少女が歩く先には、大柄な和服の男性がいる

「決心はついたか?」

男性の問いに、少女は頷く

「そうか。では、名前を教えてくれ。」
「藤崎…シオンです。」

少女はそう名乗った

「シオンか。詩音…いや、紫音だな。お前の真名は《紫音(しおん)》だ。」

男性はそう言うと、空中に《紫音》という字を指で書いた
空中に書かれた文字は不思議なことに、文字としてその場に残る

「紫音、ですか。」
「あぁ。
終焉の死神《紫音》
これがお前だ。」

男性は手を差し伸べる

「歓迎するよ、紫音。
ようこそ、非日常の世界へ。」

シオン―否、紫音は微笑み、その手をとった

「よろしく…お願いします。」



2006年9月
藤崎シオン 16歳
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ