アマリリス

□第4章 灼熱の夢
4ページ/25ページ

「では、よろしくお願いします。」

ぺこり、と頭を下げるリク

「あぁ。だが本当にいいのか?シオンと遊びに行ってもいいんだが。」
「ええ、いいんです。その代わり、調査が終わったらシオン、貸してくださいね。」

そう言い残すとリクは立ち去ろうとする

「そうだ、一つ忠告しておくよ。この件に関してはリクさんは手を引いた方がいい。調査結果は警察に回すなりなんなりして、解決を待つのが得策だ。これは少し異常な事件なんだから。」
「はい、わかってます。あたしに、なにかできるわけでもありませんし。気になったから調査を依頼しただけです。あ、大丈夫ですよ。依頼料はちゃんと払いますから。」

そういうと、もう一度ぺこり、と頭を下げ立ち去った

「なるほどな。」

真剣な眼差しになるライカ

「何がですか、ライカさん?」
「いやな、お前のイチゴオレ好きは彼女の影響か、と思って。」
「違いますよ。私がリク姉さんにイチゴオレを薦めたんです。」

逆だったか、とライカは舌打ちをし、コートを手に取る

「調査に行ってくる。晩飯作っておいてくれ。」
「あ、私も行きます。ライカさんが普段どうやってあんな情報手に入れてくるのか気になりますし。」

シオンもいそいそと支度を始めた

「あ?まぁ、構わないが…」
「じゃ、行きましょう。今回の件ってやっぱり…」

シオンの言葉をライカが続ける

「あぁ、今回の件は間違いなく能力者による殺人だ。他に考えられない。被害者が多すぎる上にあの廃ビルを瞬時に燃やすのなんか、少なくともただの放火魔にできることじゃない。大丈夫だ、犯人の目星はだいたいついた。」

ライカは言い切ると、シオンを見つめた
―すまない、シオン―
心中で謝罪の言葉を述べ、ライカは言葉を発する

「これは、お前の実質的な初仕事なわけだが…」

そう、ライカと仕事をするようになって1ヶ月半
今までシオンが戦闘をしなくてはいけないような“対能力者”の仕事はなかった

「シオン、世の中なにがあるかわからん。もし犯人を目前にして、適わないと悟ったならば、この敵とは戦えないと思ったならば、逃げても構わないぞ。今回の私たちの仕事は調査までだ。解決できるのならそれに越したことはないが、無理に犯人と事を構える必要はない。」

いつになく真剣なライカに驚きながらも、シオンは頷く

「わかりました、無理はしません。」
「よろしい。じゃ、行くぞ。」

ライカは扉へと歩きだした
シオンもそれについていく

時刻は午後5時
太陽は傾き、辺りには紅の光がさしていた
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ