連載小説
□00.Destiny
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「どうして?」
少年は少女に問いかける。
「だって…しょうがないんだもん…」
大きな瞳に涙をため、少女は俯いた。
「オレ…いっしょにいたい…」
「わたしも、いっしょにいたいよ…でも…」
泣き出す少女を、少年は不器用に抱きしめる。
「なくなよ!おまえはわらったほうがカワイイんだ!」
「…ありがとう」
赤い顔の少年を見て、少女は笑った。
「おまえをなかすヤツがいたら、オレがやっつけてやる!」「え?」
「どこにいっても、オレがおまえをまもるんだ!」
「ほんとう?」
嬉しそうに微笑む少女の手を、少年はぎゅっとつないだ。
「ずーっと、おまえをまもる」
「じゃあ…また…きっとあえるよね?」「うん、きっとあえるよ」
「やくそくだよ?」
ふたりは互いの小指を絡ませる。
「やくそくだ」
離れていく少女の背中を、少年は思いっきり大きく手を振って見送った。
そう……
これは、5歳の時の小さな約束。