小説
□[ ハプニング ]
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低い唸り声をあげ、虚が俺に襲いかかってくる。
素早い攻撃をかわし、刀を力強く振り下ろした。
「トロいんだよっ!!」
手ごたえを感じ虚から離れる。仮面が割れ、悲鳴をあげながら虚は空中へと消えていった。
「ふうっ」
呼吸を整え、刀を背に収めて俺は辺りを見渡した。
俺の抜け殻の身体を連れた、ルキアがどっかにいるはずだ。
「あいつ、どこ行った?」
探しに行こうと足を一歩踏み出した、その時。
「きゃっ!!」
たしかに背後から声がした。聴き間違えるはずがねぇ。
「ルキア…?」
声が聞こえた方へと走り、暗闇の中じっと目をこらし、人の気配を探る。
「ルキア、いるのか…?」
「いっ、一護!?」
返事はすぐ返ってきた。草むらをかき分け進むと、すぐ自分の目立つオレンジ色の頭が目に入った。そこでゴソゴソと何かうごめいている。
「ここだ!一護っ!」
「ったく、こんなとこに…」
次の瞬間、目に飛び込んできた光景に、俺は釘付けになった。
「早く助けてくれ!重いのだ!」
「なっ……な……」「おーもーい〜〜っ!!」
「何やってんだ、お前はっ…!!」
何がどうしてこうなったのか、さっぱりわからない。
ルキアは俺に押し倒されていた。
つまり、俺の身体の下敷きになっていて、ルキアはそこでじたばたしていた。
「お前…俺の身体に何か変なことして…」
「せぬわ、莫迦者っ!!」
真っ赤になって怒鳴ってきやがった。何を想像したかはしらねぇが……。
俺は両腕を組んで、ルキアを見おろす。
「で?何でこうなってんだよ」
「いつも通り、貴様の身体を安全な処へ運んでいただけだ!」
「それで?」
「そ…それで…」
急にルキアは静かになり、ゴニョゴニョとしゃべりだす。