小説

□[ ランチタイム ]
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[ ランチタイム ]


「出来た!」
ルキアの目の前にはピンクとブルーの容器。中身がまったく一緒の弁当箱が置いてある。
「おや、完成ですか?あ〜こりゃ美味しそうですねぇ☆」
「すまぬな浦原、朝早くから…」
「いいんですよ、朽木サン。きっと黒崎サン喜んでくれますよ☆」
浦原喜助の店で早朝から作っていたもの。それは一護と自分の手作り弁当だった。
学校の屋上で見た、彼女が彼氏にお弁当を渡しているところ。幸せそうにふたりは手作り弁当を食べていた。

“私も作って渡したら、一護は喜んでくれるだろうか…”

そう思い、ルキアは早速行動に移したのだった。
「ありがとな、浦原」
「どういたしまして☆」
ふたつの弁当箱を袋へしまい、大事そうにそれを抱えルキアは学校へと走っていく。
その後ろ姿を、浦原は笑顔で見送った。


「おはよーですわ、黒崎くん☆」
「…おはよう」
猫かぶりなルキアの挨拶を、一護は無愛想に返した。
「む、何だその暗い挨拶は。暗いぞ一護」
「二回も暗い言うな」
ちらっとルキアを見たあと、一護は視線を机の雑誌に戻した。
「朝から、どこ行ってたんだ?」
小声で一護が訊ねる。
「え…ちょ、ちょっと用事があってな」心臓を飛び上がらせながらルキアは答えたが、一護が「ふーん」と言っただけで話は終了した。
深くつっこまれなくて良かった反面、一護との会話が終わってしまったのをルキアは少し残念に思った。
(もうちょっと、気にかけてくれてもいいのに…)
内心しゅんとしながらルキアが自分の席に着くと、タイミングよく担任が教室に入ってきた。


昼休みを告げるチャイムが鳴り、ついにその時がきた。
ルキアは隣で教科書を片づけている一護に声をかける。
「…貴様、昼ご飯はどうするのだ?」
「ん?あぁ、購買で買ってくるけど…お前もいるだろ?」
席を立つ一護を見て、慌ててルキアは言う。
「あ、まっ待ってくれ、一護…!」
鞄の中に手を突っ込み、目的の物を掴む。
「どうした?」
不思議そうに、一護がルキアの顔をのぞき込んだ。一気に鼓動が早くなり、ルキアは顔が真っ赤になってるのを感じながら、勇気を振り絞って口を開いた。
「一護、実は…」
鞄から取り出そうとした、まさにその時だった。
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