空と海と大地と〜外伝
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それからクラウドとザックスは何度か同じ任務をこなした。
ソルジャーの間では、『子犬と子チョコボのゴールデンコンビ』などと言われるほど、2人の活躍は有名だった。
そのせいもあるのか、この日もまた2人は同じ任務に就くことになった。
行き先は──
クラウドの故郷、ニブルヘイム……。
どしゃ降りの中を進むトラックに揺られ、乗り物に弱いクラウドは半ば死んでいた……。
「……だいじょぶか?」
心配そうにザックスが訊く。
「……だいじょぶ」
力なく手を振り、クラウドは応えた。
「俺は乗り物酔いなんてしたことないからな。お前の辛さ、分かってやれねぇや。すまん」
クラウドは無言で手を振った。
口を開いたら今朝食べたものが全部逆流してきそうだった。
外は雨で窓を開けるわけにも行かず、ムシムシとした空気も更に気分を悪化させる要因となっていた。
何故、軍の移動は密閉された空間の乗り物ばかりなのだろうか。
誰かバイクで移動とか、許可してくれないだろうか。
そうしたらどこへ行くにもバイクで行ってやる。
海だって山だってバイクで越えてやる。
この間免許だって取ったんだからな!
……何だか分からない決意がクラウドの中で芽生え始めていた。
そんな鬱々とした空気を吹き飛ばそうとしているのか、ザックスはやけに明るく振舞っていた。
落ち着きなくウロウロと歩き回ったり、スクワットをしてみたり。
呆れてセフィロスに声をかけられれば、
「早く新しいマテリア使ってみたくてさ!」
と子供みたいなことを言い出す。
案の定、セフィロスには「お前は子供か」と窘められていた。
(あのサー・セフィロスと普通に話せるザックスって、やっぱり、凄い……)
口の中から魂まで飛ばしそうなくらい弱りながらも、クラウドは感心していた。