空と海と大地と〜外伝


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ポツポツと明かりの灯る軍基地を抜け、ジュノンの眩い光の下を黙々と歩いていく。

賑やかな笑い声を響かせながら通り過ぎていく民間人の間を俯き加減にすり抜け、人気のない方へと足を進めていくと。

ビュウ、と強い潮風に煽られて顔を上げた。

ジュノンは港町。

今は墨を塗りたくったように見える大海原から、強めの風が吹いてクラウドの細い体を弄っていた。

湿った海風は肌から熱を攫い、何もない暗闇へと運んでいく。

遠くでチカチカ光る明かりは、運搬船のものだろうか。その方向を、灯台の細い光が照らしていた。



ぼんやりと。

ただ、ぼんやりとその光を目で追っていくと。

その追っていった先に。

人影があることに気付いた。

クラウドが立っている場所から5メートルほどしか離れていない場所に。

(こんなに近くにいて気付かなかった……)

ボオオオーと船の汽笛が聞こえ、クラウドの心臓は僅かに跳ね上がる。

その気配に気付いたのか、影がスッと動いたのが見えた。

ほんのりと歩道を照らす街灯の白い光が、その長い銀糸を輝かせる。

暗闇でも分かる、特徴ある碧い色の光を放つ魔晄の瞳がクラウドを捉えた。

「……サー・セフィロス!?」

更にクラウドの心臓が跳ね上がる。

白い光に照らされて、彼の顔の輪郭がぼんやりと浮かび上がった。

「ああ、昼間の子チョコボか」

まるで興味のないものを見るような目つきで、セフィロスはクラウドを見下ろした。
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