空と海と大地と〜外伝
□5
1ページ/9ページ
後に、たまたま遠征で近くに来ていたソルジャーが、クラウドの放った銃声に気付いて駆けつけたのだと教えてもらった。
幸い、イアンは命を取り止め、リックにもほとんど怪我はなかった。
少し無理をしたことで小隊長にはお小言を貰ったが、結果オーライと判断されたのか、クラウドは二等兵に昇進した。
しかし、その昇進はあまり嬉しくなかった。
ザックスたちに助けられたから、というのもあるが、ルームメイトのイアン、そしてリックも神羅を辞めることになったからだ。
イアンが重症を負ったと知った故郷の母親が、戻って来いと泣きついてきたらしい。
成績の悪くなかった彼は同じソルジャー志望だっただけに、クラウドはほんの少し寂しさを覚えた。
また、リックのように戦闘の恐ろしさを知り辞めていく兵士もいる。
入社して半年も経たないうちに、同期は半分以下に減っていた。
母子家庭で、珍しい明るい髪色のクラウドは、同年代の子供たちのからかいの対象だった。
それが嫌で、他の子供たちと遊ぶということは滅多になく、“あの事件”以来、大人たちからも忌み嫌われ、誰構わず喧嘩をするようになったクラウドは、人との接触をずっと避けてきた。
そんな彼が、たかだか半年しか過ごしていないルームメイトや、任務を共にしてきた同期たちがいなくなって寂しさを覚えることに、本人が一番戸惑っていた。
それほどまでに心を許していたのだろうか。
それとも、自分が少しだけ、大人になったのだろうか……。