紅華の唄

□もう少しだけ。
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君との距離はとても曖昧。





――― もう少しだけ。



僕と君の距離はとても曖昧だ。

いつも一緒にいるけど、友達以上で恋人未満。

君のことを好きか?と聞かれると僕は迷わずに「好き」と答える。
君も同じ事を聞き返すと迷わずに同じ答えでとても嬉しかった。

お互いにお互いが好き。

でも、likeとloveどっち?と、聞かれるとお互いに答えに詰まる。
お互いがお互いに曖昧なだけに、答えも曖昧。
確かに好きだし、愛しいとも想う。

それは友達以上で恋人とは違う気がする。

それ以上の僕たちだから…。

どの枠組みにも当てはまらない。 近くて遠い。
とても近すぎた距離。

だからこそ曖昧。
君の隣が僕の隣。

心地が良い君の傍。

いつか、君の隣を離れなければならない時が来るのだろか。

僕はそれが恐い。
あまりにも、当たり前になってしまっているから。
君の隣に僕がいることが当たり前になってしまったから。

友達以上で恋人未満。

当たり前のことなど、当たり前のことなど何もない。
それでも、君の隣に居たいと祈っている僕がいる。

もう少しだけでいい。

もう少しだけでいいから、君の隣に居たいと。
僕と君の距離は相変わらず曖昧。

でも、もう少しだけ曖昧の距離で居たいのだ。





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