鍵と錠と灰色
□†start†
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始まりなんて、何時も突然にやってくる。
その反対も然り。
だから、心の準備なんて出来ないんだ。
† 1:Start †
僕は物心がついた時から、この世のものではないものが普通に見えていた。
そう、幽霊や妖怪などだ。
それに、感が人よりすこぶる良かったし、人よりも治癒力が早かった。
それは、僕にとって当たり前だった。
でも、周りから非常識な事で、あってはならない事だった。
だから、皆同様に、僕の事を気味悪がった。
周りの人間をはじめ、母も父も気味悪がった。
それは、異分子の存在。
あってはならない出来事。
だから、僕は必死に隠す事にした。
あれは、幻で夢で妄想なのだと。
しかし、思いとは裏腹に、年を重ねる事に力は強くなっていった。
それを狙ってくる輩(幽霊や妖怪)も、数も強さも増してくる。
僕は強くなる事しか道はなかった。
僕は、一人になるしかなかった。
周りとは常に、無意識に一線を引いて暮らした。
仮面を何枚も貼り付けて。
道化師のように振る舞った。
誰も、本当の僕に気づかない。
それに安堵し、滑稽だと自分を嘲笑った。
これで良いんだと、自分に語りかけながら。
それから月日は流れ、僕は高校生になった。
相変わらず、道化師を演じいた僕に、一人の友達が出来た。
名前を、菅原 美咲。
僕の、初めての友達である。
美咲は、僕同様に霊感が少しあった。
見えないけど、何となく分かる、その程度だが、一人だった僕には、奇跡のように嬉しかった。
これが、僕と美咲出逢い。
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