りんごあめ

□空(クウ)を掴んでみようか
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椅子にすとんと腰を降ろして、机に足を投げ出しながら見上げた空は嗚呼なんて眩し過ぎる青。





まだ日が高く上る時間、終業式が終わり既に誰もいなくなった教室には自分と幼馴染だけが残っている。帰る気力すらわかないまま唯なんとなくそこにいた。



「あのさぁ…」


「ん?」


「私、好きな人がいるんだよね」


「……えっ」



特に理由なんてない。如いて言うなら四角く切り取られた空が綺麗だったから、それが幼馴染にこんな話をする気になった理由だろうか。


ポカンとした顔でマジかよ、なんて呟くスポーツ刈りにマジだよと返す。


「誰だよ?俺の知ってる奴?」


「さぁ、分かんない」


「は?何だよ分かんないって」


「だって知らないんだもん。何て名前でどんな顔で何処に住んでて歳は幾つで、とか何にも分かんないの」


「だって好きな奴って…」


「そうだよ、だけど好き」



益々ポカンとした顔になって、とうとう眉間に皺を寄せ始めた幼馴染に苦笑する。
そりゃそうだ、自分でも訳わかんないのに偏差値40の野球馬鹿に理解できるわけない。いや、偏差値80の秀才にだって分かりっこない。







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