りんごあめ
□だうぞ御元気で
1ページ/2ページ
あの人がすごく好きだった
鮮やかなその色に魅入られたのか
ツンと苦く、でも微かに甘い馨に酔ったのか
自分でも不思議なくらいに夢中で後を追いかけた
時々撫でてくれる冷たい手はひどく優しくて
でも、なぜだろう
「どうしたものか…」
彼はいつも困ったような顔をしていた
私がいるからいけないの?
それなら、私がすることは一つだけ
貴方の元を離れることだけ
どうせもう会えなくなるなら、
せめてこの気持ちだけは旅の供に置いていこう
大好きよ
「ようやく、自分の行く処を見つけたか」
「ニャー」
さようなら、愛しい人間 (ヒト)
終