小説2

□寂しいのは誰?
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迂闊だった。
しかしそれは突然の事で…。
きっとルルーシュに見つかってしまえばまた煩く小言を言われてしまうんだろう。

「あら…もしかしてC.C.さんですか?」


目の見えないこの少女。
しかしその分雰囲気を察する能力には長けていてとても黙りを決め込める相手ではない。
しかも名指しをされてしまった。

「あぁ、そうだ。」

しょうがなく返事をするとナナリーは意外にも嬉しそうに微笑んだ。

「いらしてたんですね。でもお兄様は…」

そう、今はまだ昼過ぎ。
一般的な学生は授業の真っ最中だろう。
ゼロと言えども普段は学生をしているルルーシュも例外ではない。

「あぁ。学校だろうな。しかし暇だったのでついな…。」

なんとか適当に誤魔化してみるが中々自分でも苦しい言い訳だな、と思ってしまった。
しかし予想とは逆にナナリーは「まぁ」と笑っただけで納得したのかそれ以上は追及してこなかった。

(ルルーシュの妹にしては単純だな…)

そんな風に考えていたがふとナナリーの手の中の物に気付き声をかけた。

「それは?」

すると少女はあっと声をあげて恥ずかしそうにそれを手のひらに乗せて小さな声で呟いた。

「あの…今日は気分が悪くなってしまって…早退してしまったんです。それで…私も暇だったので…。」

意外な答えにC.C.はキョトンとしてしまう。
それに気づいたのだろう。
ナナリーは慌てて顔を上げると先ほどとは別人のように大きな声で喋り始めた。

「さ…さぼった訳じゃないんです!ただ…これをしてると気持ちが落ち着くというか…」

そうやって言い訳でもするように話すナナリーが可笑しくてC.C.はついプッと笑ってしまった。

「わかったわかった。ルルーシュには内緒にしよう。それにナナリーはずる休みするような子ではないしな。」

ニコリと笑ってそういうと、目の見えないナナリーも雰囲気で察したのか嬉しそうに笑った。
しかしふと思い出してC.C.は声を上げる。

「あ、そうだ。ルルーシュには私と話した事を内緒にしてもらえないか?」

その言葉にナナリーは不思議そうな顔をするがその疑問を予想していたのだろうC.C.は続けて口を開いた。

「アイツは私とお前が仲良くなるのをあまり好ましく思ってないようだからな。」

「え?何故でしょうか…?」

それを聞いてナナリーの表情が少し曇る。
それをみたC.C.は慌ててもう一度、今度は言葉を選びながら口を開いた。

「いや、お前を私にとられたくないんだよルルーシュは。」

そういうとナナリーは一瞬真顔になるとぷっと吹き出して笑ってしまった。

「まさか…C.C.さんはお兄様の大事な人なのに。そんな事ありません…」

『大事な人』、その言葉にどきりとしてしまったがそう言えば自分がナナリーに言った言葉だったなと思いはやり言葉は選ぶべきだと反省してしまった。

『将来を約束した仲』

確かに契約者としては間違っていないのだが…。

なんとかこの話題から抜け出そうと再びナナリーの小さな手のひらにあるソレへと視線を向けた。

「ナナリー、私にもまたそれの折り方を教えてくれないか?」

丁度私も暇だったのでな。と付け加えて言うと屈託のない笑顔で「はい。」と返事がかえってきた。

****
ルルーシュの部屋ではなんなのでナナリーの部屋へと移動して二人仲良く机に並び鶴を折っていた。
ナナリーは意外にも自分は不器用だと言っていたが何度も練習したのだろうか、彼女が折る鶴はどれも綺麗に可愛らしく出来上がっている。

「こないだも思ったが…結構これは難しいな。」

黙々とただ教えられる通りにC.C.も鶴を折る。
自分でも前よりは上手くできている気がした。
しかし次の瞬間ナナリーの言葉に手を止めてしまう。

「C.C.さんは…お兄様の何処が好きなのですか?」

「…え?」





暫くの沈黙。







「好きというと…ルルーシュの事か?」

動揺しているのだろう。質問された事を聞き返してしまった。

「はい。」

しかしナナリーは得に何も疑問に思わなかったのか笑顔で返事をした。

「えっと…優しい所かな。」

さしあたりのない言葉を選んで答えてみた。

「他には?」

しかしナナリーはそれだけでは許してくれないようで次の言葉を要求されてしまう。
考えて見るがルルーシュのいい所などあまり浮かんでこない。
何故私がこんな事で悩まなければならないのだ…と次第に腹までたってくる始末だ。
やけくそになってルルーシュに関する思いついた言葉を並べてみた。

「…子供な所。それと馬鹿な所とシスコンな所だな。」

「ぷっ!あはは。確かにお兄様のいい所ですね。」

全て悪口だろうにナナリーはそれを聞いて声を上げて笑い出してしまった。

「でも…お兄様とC.C.さんは似てます。」

笑いを堪えながらそういうナナリーにC.C.は苦い顔をしてしまう。

「私は子供ではないし馬鹿でもないぞ。シスコンは…
まぁこんなに可愛い妹ならなってもいいがな。」

その言葉にナナリーは嬉しそうに笑うと

「お兄様がC.C.さんを好きな理由がよくわかります」

といった。

暫くそんなたわいもない事を話しながら二人で折り紙を折っていたのだが…
すっかり集中してしまい時間がたっている事に気づかなかった。

「ナナリー!?」

突然声をあげて部屋へはいってきたのは噂の人、ルルーシュで…。
C.C.の姿をみつけるやいなや安心したのか強張らせていた表情がゆるくなる。
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