小説2

□魔王3
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「何って牽制だ。」

「は?」

「先ほどすると言っただろ。」

顔を赤くして言うC.C.にルルーシュは口の端を吊り上げて笑うと再び慌てる彼女の唇に自分のそれを重ねた。

「ん〜ッぅうぅんッ!!」

今度は先ほどよりも激しく口内を犯していく。
逃げるC.C.の舌を追いかけ絡めるように自分の舌で捕まえてしまう。
それだけでびくんと震えるC.C.が愛おしくてついその先まで求めてしまいそうになる。
しかしそこはこれからの事を考えぐっと堪えるとルルーシュは今度こそC.C.に視線を送りながらも体を起こすと少年へと歩み寄った。そして少年のポケットに入っていたスタンガンを取り出す。

「これは預かっておく。」

そして若干頬を染めて固まってしまっている少年に視線を合わせながらニヤリと笑うと唯一の出入り口である扉に向かいドアノブに手をかけた。

「見ての通り、キス一つで赤くなるほど俺に惚れている。指一本でも触れてみろ。噛みつかれるぞ?」


そのセリフと同時にルルーシュの姿は扉の向こうへと消えた。
ルルーシュの姿が見えなくなると固まっていた少年はハッと意識を戻し、無言でC.C.との距離をあけベットの端に座った。


「おい…。」

言い逃げのような形でルルーシュから取り残されてしまったC.C.は未だ赤い顔をしつつも苦虫を噛み潰したような表情だ。

「…アイツが私に惚れているんだ、勘違いするなよ。」

若干俯き加減でそう呟くC.C.と呼ばれていた少女のセリフに少年はごくりと緊張で溜まった唾を飲み込んだ。
明らかに少女はあの青年に惚れている。
しかしそれはどっちでもいい事だ。
よくわからないがあの男に逆らってしまえば本当に何もかも奪われてしまいそうな気がしたから。

「あの…これから俺はどうすれば…」

思い切ってまだ話しの通じそうな少女へ少年は声をかけた。

「さぁな。アイツが何をするのか知らんが…言われたようにするまでだ。」

その言葉にがっくりと肩をおとしてしまう。

「大丈夫。命までとられたりはしないさ。」

彼のその状態をみてC.C.は腕を伸ばすとふふっと笑いながらぽんぽんと背中を叩いた。


「うわぁッ!?」

その途端突然少年は声を上げてがばっと立ち上がりそのまま2メートルほど後ろへ飛び上がってしまった。

「な…何だ?」

一瞬驚いてそのままの形で固まっていたC.C.も少年のその態度にきょとんとして彼を見上げた。

「触るなッ!!」

まるで強姦にでもあったように少年は声をあげるとC.C.から視線を逸らした。
その顔は赤く染まっており逸らした目線もきょろきょろと定まらない状態だ。

「……?」

C.C.はその態度に訝しげな表情で彼を見つめる。

「お前…あれだけ先ほど私に触れていて何だその反応は?」

C.C.は確かめるようにもう一度彼に手を伸ばすとその分だけ少年も距離をあける。

「ち…違う…あれは…ッ」

両手で防ぐようにC.C.の手から逃れるようにしながら再び彼は声を張って思いもよらない事を叫んだ。

「お…俺…本当は経験ないんだッ!!
こんな指示受けたのも初めてで…」

早口で言われるその予想外な台詞にC.C.の目は点になってしまう。
しかし次の瞬間には頭で理解するとぷっと吹き出しつい口の端が緩んでしまった。

「お前…童貞か。」

「……ッ」

直接的な言葉を吐きながらクスクスと笑うC.C.に少年はカッと更に顔を赤らめる。

「ふぅん。やけに喋ると思ったらそう言う事か。」

経験がないとすれば淡々とした態度も饒舌な態度も全て演技だとすれば納得できるとC.C.は内心頷いた。
でも何故今更この反応なのだろうか?

(演技として通してきたならそれを突き通せばいいだろうに。)

「命令だと思って冷静に冷静にってやってたけど…」

そんな疑問を抱いていたが少年が再び話し始めたのでそれに耳を傾けた。
どうやら緊張すると喋りでそれを解そうとする性格の様だ。

「その…君と君の恋人との……やり取りを見たら……」

つまりルルーシュとC.C.のキスを見てしまい興奮してしまった…という所なのだろう。
赤い顔をして説明する少年に釣られ、C.C.もまた頬を赤らめてしまう。

「ふ…フンッ。童貞には刺激が強すぎた様だな。」

意識せずに発した台詞にいつかの魔王とのやり取りを思い出しさらに顔を朱に染めてしまった。







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長くなったのでいったんここまでで…。
大分お待たせしました。
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