小説2
□オレンジ
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「まったくお前は…あまりウロウロするな。」
仮面をはずすとその下には渋い顔。
それに気づいているのかいないのかC.C.はごろりとソファーに身体を横たわらせた。
しかし目線はルルーシュの持っているそれに注がれている。
「なんだ?欲しいのか?お前がピザ以外に興味を持つのも珍しいな。」
視線に気づいたルルーシュは無理やりC.C.の隣へと割り込む。
C.C.は身体を起き上がらせるとオレンジからルルーシュへと視線を変えた。
「よくわからんが…凄く甘く感じたんだ。そのオレンジ。」
机に置かれたオレンジを一房もぎ取ると自らそれを口に放り込む。
しかし期待したような味ではなく首を傾げてしまう。
「?」
ルルーシュも同じようにそれを口にするがそんな感じはせず普通のオレンジであった。
「確かに甘いが…」
ふとC.C.は思いつくと視線を上げルルーシュ、と口を開いた。
「食べさせろ。」
「…は?」
「いいからもう一度食べさせろ。」
その傍若無人な物言いに少々眉間の皺を濃く刻むが今更この女の我儘が始ったわけでもないしな…と諦めて言われた通りに手にとったオレンジをC.C.へと向けた。
C.C.はそれを躊躇いもなく先ほどと同じようにルルーシュの指まで咥え口にする。
唇を離すとコクリと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
「ふむ…そういう事か。」
納得するように一言呟くとC.C.は次をくれと催促する。
一体何がどういう事なのかわからないルルーシュは更に訝しげな表情をしたのだった。
次の日、黒の騎士団内でC.C.が愛人だという噂が更に広まったのは言うまでもない。
それを玉城のせいだとルルーシュは思うのだが原因は自身にある事をルルーシュは気づいていない。
***
甘いのはルルーシュ。