「お、お!?何、レギュラス君、熱?お熱?冷えピタいる!?」 「…いりません、こうしてるだけで良いですから…」 「え、っとぉ…」 困った。何だこのかわいい生き物…!さっきまで並んで座って魔法史の愚痴をこぼしあっていたのに、ちょっと話が途切れたとき私はどこからか飛んできたハエをボーっと眺めていたのに、急にこんなことされるとキュンってくるじゃないのよぉぉ!お姉さん嬉しい…! 「どったの〜?レギュ君、急に抱きついてくれるなんて、甘えたさんなのかな?」 「…黙って」 「…え?」 「………」 からかったら真っ赤になって怒ると思ったのに(ちょっと見たかったのに)、レギュラスかすれた声しか出てないじゃない。一大事?槍が降るというアレ?…ていうかそもそも、冗談言ってる場合じゃない? 「レギュラス、何かあったの?」 「…聞かなくて良いですから」 「ん?」 「聞き流して下さいね」 「え、何――」 レギュラスは私の肩に顔を埋めたまま、しょぼしょぼと話し出した。彼は細っこいけど、もっと小さい私に抱き止められているなんてなんて滑稽なのかしら。 …レギュラスに聞き流せと言われたから、いろんな別のことを考えてみたけど、レギュラスが血筋のことで悩んでることは嫌と言うほど伝わってきてしまった。下手したら、レギュラス泣いてるかもしんない。話し終えると私から離れて、大きく息をついた。 「はぁ、情けなくてすいません。もういつも通りですから」 「んー、レギュラス」 「はい?」 「根詰めすぎちゃあ駄目だよ。辛かったらいつでもハナコ先輩に言ってね。シリウス殴るくらいなら出来るから」 ちょっとびっくりしてから、レギュラスは柔らかく笑った。聞き流せと言ったのに。あと、どうして兄さんなんですか。――って。 麻紐が絡みつくよう end. 20100521 |