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□月とスナイパー
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「私、満月なんて大っ嫌い。何がお月見よ。何が十五夜よ。日本の文化が聞いてあきれる」

「お前もよく喋るな」

「だって、あの満月さえなかったらってシリウスだって思うでしょう?」

「まァな。でも、ポジティブに考えりゃあ、満月が在ったおかげでアニメーガスの特訓ってのが出来るだろ」

「…ちょっと不謹慎ね」

「ハハハ、リーマスだってわかってくれるさ」


不謹慎と口をとがらせたハナコも、俺が笑うともう何とも言わなかった。代わりに、今外を眺めている窓に顎を乗せたこれ以上ないほど楽な格好で叫びの館の方角を見た。


「今ごろリーマス、部屋をぐちゃぐちゃにして暴れたりしてるのかな」

「メス狼連れ込んでるかもしんねェ」

「わぁ、さすがシリウスの脳みそ。そんなことしか考えられないんだね」

「あ?うるせーな」


くすくす、とハナコは鈴のように笑う。最近やっと、満月の夜も笑うようになった。よかったって、素直にそう思う。


「あーあ、満月なんてなくなっちゃえ!」


ハナコは右手で銃を作って、バーン、と月を射抜いた。いや、もちろん、モーションと声だけだが。


「お前って言葉遣いより遥かに優しいよな」

「…何、口説いてくれるつもりなの?」

「ハハハ、悪くねぇな」

「ばーか、ドキッとするからやめなさい」


俺は多分、悪戯な笑みをして見せてからハナコと同じように月に“在るつもりの武器”を向けた。ただ違うところは、俺のは高性能のバズーカ砲というところだ。


「目標物、射程圏内。ピピピ、ロックオン完了、発射!」

「ハハッ、目標物、撃墜確認。よくやったシリウス隊員」



思想う



end.
20100406
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思う相手は、シリウスでもいいしリーマスでもいいと思うけど。
でもまぁとりあえず、シリウス夢ってことで。


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