.2

□天まで、水柱
1ページ/2ページ


「よっしゃ、見てろよー」

「はいはーい」


ザバン、
という音とキラキラと輝く水しぶきの中にシリウスは消えていった。水泳選手さながらのカッコいい飛び込みを私の目に焼き付けて。


「すごいすごい」

「だろー?」


水面から顔を覗かせ、びしょびしょのまま、へへへと歯を見せて笑うシリウス。何がそんなにおかしいのかと疑いたくなるが、その顔が嫌味なくらいかっこよくて、私はただただ笑うしかなかった。


不意に、すぅっと大きく息を吸い込んで、シリウスは水の中へ消えた。1秒、2秒、3秒。私はパラソルの下からプールサイドへと駆け出す。4、5、6。滑って転びそうになるのを堪えて、プールの淵までたどり着いた。7、8、9。そして――


「10っ!!」


そう言って私が高くジャンプして(シリウスが上げた水しぶきの何十倍もの水しぶきが上がったよ)水へ飛び込んだのと、シリウスが水面から顔を出したのはほぼ同時。



高い高い水柱と共に
(あなたは笑った)(水がでちゃったよ、と)





end.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ