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□蒸しチョコ
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暑い、暑い、暑い。
一年前にも経験したはずなのに、何なんだこの暑さは。今の私は「うだるような暑さ」を具現化してると思う。汗でベトベト、メークも落ちた(ウォータープルーフは当てにならない!)。きっと死ぬまで慣れないんだろうなぁ。そう思うと胃が重たくなる。


クールな彼といれば、マシかと思ったんだけど。それも大きな大きな大きな大きな大きな…間違い。


「…ばっかじゃないの?」

「君より成績いいよ」

「そうじゃなくてさ…」


むせ返るような濃厚なカカオの匂いが、身体中の汗線を刺激する。なんだか痒いような、痺れるような。一刻も早く、この部屋から出たいと思った。
彼の頭のネジはいくつほど外れているのだろう。たとえ外れてなくても、修理は必要だと思うけど。


「リーマス、今日の最高気温知ってる?」

「摂氏32.8度」

「知ってんなら行動を改めよう」

「どうして?どうせ溶けちゃうからホットチョコレートにしてしまおうと思ったのに」


甘いものは嫌いじゃないけど、さすがにこの気温の中で熱いチョコレートをすするリーマスには顔をしかめた。暑い、いや、むしろ悪寒が走ると言うもんだ。わけもわからず、私は自分の肩を抱いた。


「そんなに言うなら、ピクニックにでも行く?今日、晴れてるでしょ?」

「ホントに!?」


リーマスの突発的な一言に、私は思わず聞き返した。リーマスは無言で、だけどにっこりとして頷いて見せた。珍しくリーマス絡みの事が上手く進む(そういえば、今日の星占い1位だった)。


「だってハナコは走り回っる方が似合ってるもん。どうせ汗だくになるなら、行こうか」


顔が熱ったのがわかった。悪寒はいつの間にやら走り去っていた。ちなみに、顔が暑いのは照れてるんじゃなくて、この部屋が暑かったからだ。断じて照れていない。


「ハナコ、何か用意してよ。美味しいもの」

「お!サンドイッチ作れるよ!パンある?」


こんなに暑い日だから、涼しい所を求めてキミの元へ来たんだけど、逆に晴れ渡った空の中のギラギラ眩しい太陽の下に繰り出すのも悪くないな。――もちろん、ホットチョコレートなんて論外、ね?



空の下で二人
(げ、ホットチョコ持ってきたの?)(ダメ?)




end.
20090716

 

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