.2

□an alpha star
1ページ/1ページ


「レギュラスってどうして獅子座の星の名前なの?極悪純血主義者の家庭じゃない」

「…極悪ってなんだよ」


僕の目を、じっと、それはもう、穴が空きそうななほど見つめながら、ハナコは尋ねた。ただただ純粋に、スリザリンの僕の、不自然な名前について。僕がずっと嫌悪していた、獅子の中の名前について。


「レギュラスって本当は、良い人なの?」

「グリフィンドールが良い者でスリザリンが悪者とでも言うの?」

「50パーセント当たり」

「ああ、生意気」


ずっとずっと、“レギュラス”が嫌いだった。小さな王と呼ばれるのも、それが、獅子座の心臓であったのも、どっちも。あの方に心酔してから、ずっと、ずっと。


「だけど」

「え?」

「もう、自分の名前が嫌いじゃない」


首を傾げるハナコをしり目に、僕は続けた。僕の自己満足だった。ハナコが求めている答えではない。でも僕だって、自分の名前の由来なんて知らない。ただ、むりやり、自分の名前を好きになろうとした。がむしゃらに。馬鹿みたいに。それは、こじつけや、屁理屈を固めたものだっただけかもしれないけれど。
僕にはじゅうにぶんだった。


「僕の名前は、獅子座が持っているんじゃない。僕が獅子座を、内側から焼き尽くすための名前だからね」



悶える大獅子



「そっか、」

「……忘れなよ。後々になって引き合いに出したりしたら、怒るから」

「…せいぜいレギュラスが燃え尽きないようにね。レギュラスがスリザリンでよかったよ」


グリフィンドールの彼女は泣いていた。綺麗だ、と思ってしまったなんて、これじゃあ巨大な獅子なんて焼き尽くせない。彼女の、安泰で、神聖で、揺り籠のような獅子を、焼き尽くすことなんて出来やしない。綺麗な雌蛇が悪い獅子にとらえられているとでも、また、妄想に、屁理屈に、こじつけに頼らない限り、焼き尽くせない。



悶える火種



end.
20110122


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ