「レギュラスは良い人だよ」 「嘘ぉ、無愛想だしヤな感じ」 そんなことないんだけどなぁ、って言うか、人のボーイフレンドの悪口を本人の前でするか?と思ったけど、言い争うのも面倒だったから何も言わなかった。――そんなことよりさぁ、友達はレギュラスの話が前菜以前のオードブルだったかのようにシリウスさんの話をしだした。うぅん、興味ない話をされてもなぁ。 「ほんっとカッコいいよね!ね、ハナコだって本当はシリウス先輩の方がカッコいいと思うでしょ?」 「そうだね」 元々、こういう話はあんまり得意じゃないし好きでもなかった。だから、目の前の友達の話は頭に入ってきてなかった。あああ、今思えばちゃんと聞いていればなぁ…ていう感じ。 「レギュラス、怒ってる?」 「ええ、いくらぼうっとしていたからと言ってどうしてよりによって兄さんなんです」 「ごめん、謝るから」 「結構です。もう十分怒りました」 不機嫌なレギュラスはやっぱりどうしていいかわからない。彼女なのになぁ、と落ち込むこともあるけど落ち込んでいられないのがレギュラスの彼女の使命だよ、ね。ああ、大変だ。 「……まぁ、僕も少し大人気なかったですから、すっかり黙ってしまわないでください。あなたらしくない…」 「…まだ子供じゃない」 「ハナコ」 「あ、ごめん」 結局ため息をついて許してくれるレギュラスは、やっぱり良い人だ。 良好い人(いいひと) end. 20100218 |