「ったくよォ、なんで俺が監督生の仕事しねぇとならねーんだよ」 人が、やっと一つ抱えられるような大きさの木桶を抱えて、シリウス君は気だるさ全開で愚痴をこぼした。昼の休憩時間のことである。 「でも…二人とも体調悪いみたいだし…」 「たまたま通りかかった俺たちに押し付ける教師もどうかとおもうけどな。俺、クィディッチしにいく所だったんだぜ?お前だって、することあったんじゃねぇの?」 「で、でも、リーマス君なんかはずいぶん前からしんどそうじゃなかった…?」 シリウス君はちょっと不思議そうに私を見下ろした。背が高いなぁ、なんて考えていたら、鼻筋をへし折られた。 「お前、リーマスのこと好きなのか?」 「へっ!?なんで!?」 「…や、違うんならいいけど」 いや、いいって言うのは変かもしれねぇけど…なんて、ぶつぶつ言いながらシリウス君は首をひねったり、背中をぐーっ、と反らせたり、落ち着きなく動いていた。不意に、本鈴がなったとき、私たちは同時に「あ、」と漏らした。授業始まりの、合図。 「嘘…はぁ、最悪」 「あー、ハナコ、だっけ?」 「え?」 「サボる?」 悪戯そうな笑顔で私の目をのぞき込んできたカッコいい男の子のお誘いを誰が断れると言うのだろうか。甘酸っぱい青春って、こういうことか。 ある昼休み、 何かの始まりの予感 end. 20100205 |