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□tea sugar
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「そんな苦い顔してたら、幸せが逃げちゃうよー」


僕とハナコはカフェに入って、紅茶を注文した。ハナコは追加で一口菓子をひとつ。


「そんなことないよ」

「あるよー、わかるよー」


自分の顔が、眉を下げて笑った。意識した訳じゃない、自律神経が働いた、と言った方が語弊は少ないんじゃないか、ってそう思う。
ハナコは砂糖の入った真鍮のポットにスプーンを突っ込んだ。山盛りに積まれた砂糖と共に、スマートな針のようなスプーンが戻ってきた。ドサリ、そんな効果音と一緒に、砂糖は僕のティーカップへ飛び込んだ。


「ちょっと!いくら僕でもそれは甘過ぎるよ!」

「いーのいーの。今のリーマスみたいな苦い顔には、とびっきり甘いものが必要だと思うんだ」


どさり、どさり。結局ハナコは僕のカップに山盛り三杯の砂糖を入れた。それから、彼女自身のカップには適量の砂糖を投入して、ハナコはそれを口元へ運んだ。美味しそうな、普通の紅茶だなぁ。



砂糖、大さじ



また見抜かれた。人狼なんかの僕が、ハナコみたいな普通の女の子と付き合っているなんて、なんて馬鹿馬鹿しいんだろう。そう考えるときは、いつもハナコに軽い説教をされるんだ。
「リーマスみたいなハンサムな男の子と、私なんかが付き合っている方が、よっぽど馬鹿馬鹿しいでしょ?」


甘すぎる紅茶を、胸焼けを我慢して飲み込んだ。「んー、メルシー!」。オシャレな一口菓子のそのオシャレさを、フランス語で表したかったのか、ハナコはそう声高に言った。メルシーの本当の意味が"ありがとう"だということは、今は黙っていようと思った。



end.
20100108


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