novel*その他

□no title
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「あれからもう3年だから田所君は大学2年生かぁ」
時が経つのは早いなぁと、優しそうな目元が細められる。

伊藤とは高校2年生の時、伊藤率いるA校と勝負をして以来だった。
負けてしまったがT校は大きな収穫を得たと思っている。
それはA校も同じだった。

それから近くの公園のベンチで2人は話した。

陽一は薄野のお陰で不可能に近かったW大への入学を果たせた。
それから色々なバスケットの技術を学んでいる。
一度しか会ったことがない伊藤のことを覚えていたのは、陽一に将来への一筋の光を示してくれたからだった。

伊藤は今だ現役でA校でバスケットを教えているという。
伊藤の人間性を重んじる教育体制は変わっていないようだった。
そのお陰か、A校は今だ全国トップ校として君臨している。

W大の現状を知っているのか、大変だねと肩に手を置かれるとなんだかもどかしい。
確かに、今のW大には以前の力はなく、レベルの低迷路線を突っ切っていた。
それでも、陽一は大好きなバスケットを楽しもうと日々頑張っている。

――そして陽一はある考えを告げた。

まだ朧気ながら陽一は指導者として人々を助けたかった。
薄野との出会いで教育や生き方の理念や思想を知った。だがバスケットもやりたい。
陽一は思いの丈を語った。







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