novel*その他

□悲恋―黒子のバスケ
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/こんなに辛い恋なら知らなければ良かった
黄瀬→黒子((黄瀬独白









帝光時代、黒子っちのことを好きだったわけではなかった。
好意的ではあったがそんな邪な感情は持っていなかったんだ。






「黒子っち」

「なんですか?黄瀬君」

呼べば足を止めてしっかりと見てくるその真っ直ぐな目がすきだ。とか。

「一緒にマジバでも行かないっスか?」

「ええ」

イヤがらずに付き合ってくれるとこがすきだ。とか。

「どうしました?黄瀬君?」

「…、いや、なんでもないっスよ」

そうやってすごく気遣ってくれるその優しさがすきだ。とか。

そういうのは中学時代からの気持ちで、それが確かに、確実に色を変えたのは別々の高校に入ってすぐのことだった。

黒子っちの隣にはいつも自分がいて、その毎日が当たり前だった。
だから今の自分はおかしくなりそうなほど狂ってしまっている。
だけど、黒子っちの隣には自分以外のオトコがいて。

誠凛高校と練習試合を行って初めて敗北を知ったその日、黒子っちの隣に平然と立つオトコにある確信を抱いた。
それは決別の確信。
2人は必ず別の道へ行く。
いくらそのオトコが光だからって。いくら黒子っちが影だからって抗えない未来。

でも、光はきっとオトコだけじゃない。俺だって光だと思う。
自分の存在が、黒子っちにとってどういう光なのかはわからないが。

光だけじゃ何も出来ない。
影があってこそ、物事に輪郭が出来て視界に捉えられる。

だから君が必要なのに。


こんな辛い恋ならば知らなきゃよかったのに。






END
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