novel*その他

□夕日の光さす廊下で愛の告白を
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「…音弥」

藤丸の反応を待っていたら、いつのまにか俯いてしまって自分と藤丸の足しか見
えなかった。

「俺は藤丸やあおい達にこんな危険なことをさせたくない」

ああ、お前はまた他の奴の名前を出す。
こういう時、嫉妬してしまうのだから本当に自分は心が狭いと思う。

「でも、俺は音弥を信じてる。最初は昔からの親友だし、あおいと違って遠距離
タイプだからすごくいい相棒になると思った。だけど一緒に行動を共にしてたら
わかったんだ」

頬に温もりを感じる。
それが藤丸の手だと気づくまで少しかかった。

「…俺は、音弥が好きだよ」

今度は反応が早かった。
すぐさまに顔を上げると藤丸はちょっと照れたように笑っていた。

「…え…」

「…え…?」

「「…」」

いまいち状況の掴めない音弥はぽかんと口を開けている。
藤丸もそんな音弥の反応に首を傾げる。

「…ほ、本当、なのか…」

「嘘に聞こえる?」

「え、あ、いや…」

「そ、それならよかった」
「…」

「俺、音弥のこと好きだたよ」

また無邪気に笑う。
一歳年上でも、テストの点数が良くても、スポーツができても藤丸のこの笑顔に
は敵わないのだと、自覚していた。

どくん。と、心臓が飛び跳ねる。

触れたい、と、思った。
その唇に、自分のソレを重ねたいと思った。
それだけじゃない。ひとつに繋がりたいとも思ってしまった。
本当に毒されているんだと、思った。

そんなことを思っていたらいつの間にか藤丸の顔がさっきよりも大きく、いや、
近づいてきていることに気がついた。

っは!と身を引こうとするが藤丸の方が早かった。

藤丸の唇と、自分のソレが重なり合った。

柔らかい。そう考えてしまう自分はどこか余裕だ。だけど心臓は今にも破裂しそ
うだった。


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