novel*00

□Says.
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「刹那」

きっと自室に向かうであろうその人物を呼び止める。

自分の呼びかけに気が付いた刹那がゆっくりとこちらを振り向いた。

「なんだ、ロックオン」

ーいつもと変わらない瞳。自分とは違う、熱のない、瞳。

「いや、ハロどこにいるか知らねぇかなぁと思ってさ」
「ハロか?・・・沙慈のところにいたと思うが」
「その沙慈さんってのはどこにいんだ?」
「00の格納庫にいたと思うが」
「そうか、ありがとさん」

それだけ。
たったそれだけでいい。
明日になれば忘れてしまいそうなそんな程度の会話でもいい。

長く話せば、それだけ兄に見られるだけで。

ソレスタルビーイングの制服を翻すようにして刹那に訊いた格納庫へと行こうとする。
そうすれば、今度は自分が背後から呼び止められた。
なんだ?と聞けば呼び止めた張本人である刹那はじっとこちらを見据えたままだった。
ずっと、ただただ見てくるだけ。

そう、見てくるだけ。

訝しげに、ただただ。

「何かあれば言え」

それだけ、たった一言だけ言われたその言葉は果てしなく素っ気無かった。
刹那はもう用はないのかそのまま行ってしまった。



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