novel*00

□ティエ刹好きに15のお題
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1,初めは大嫌いだった


・・・いつからだろう、彼がこんなにも自分にとって気になる存在になったのは・・・

大嫌いだった。
年齢的にも若すぎて、本当に任務を遂行できるのかわからなかった。
ヴェーダが推奨しているから渋々認めたが、それでもやっぱ気に食わなかった。
あまり語らないその口も、するどい光を煌かせるその瞳も、何もかもが嫌いだった。
感情をあまり表さないくせに、子供のように激情で動くところがいくつかある。
それもとてつもなく気に食わなくて、何度もその背中を撃とうと思った。だが彼も一様ヴェーダが認めた人間だ。
何か意味があるのだろうと、無理やり思って殺したいと思う気持ちを押さえつけた。

・・・だが、いつからだろう。

彼が何かをする度に押さえつけていた激情はそれよりももっと、複雑な感情が渦巻くようになった。
彼が無茶をする度に気になって、彼はちゃんと無傷で帰ってこれるだろうかとか考えるようになってしまった。
本当にどうかしてる。
これを自覚した時、自分はどうにかなっちゃったんじゃないかと思った。とうとう狂ったんだと・・・。
悲しかったけど何故か嬉しいような気持ちもあった気がする。
ロックオンがふと、「お前も人間らしいところがあるんだな」とか言ってきたがよくわからなかった。
わからなかったが、それも不思議と嫌な気はしなかった。

きっと初めてだろう、彼はロックオンに殴り飛ばされた。
そして銃口までも向けられた。
ロックオンの中で渦巻く激情は自分にはわからなかったが、どうしようもないものが渦巻いていたのはわかる。
だが、そんな状況であっても、彼はロックオンに殺しても構わないと言った。そして微笑んだ。
彼がロックオンにどれだけの信頼を置いているかわかった。
それで自分の中でちくちくするような感じになってよくわからなかったが、しばらくたってそれが嫉妬というものだとわかったときはなんとも言えなかった。
それがまた、人間らしさなのだろうと思う。そして呟いた、「これが人間か・・・」と。
嫉妬なんて初めての経験だったがそれもまた気持ちがよかった。
まだ彼のことは嫌いだと思うけど、それでも前とは違うものだとわかって幾分か気分がいい。
そんな気持ちに気付かせてくれた彼に感謝する。が、それでもむかつくことに変わりはないが・・・。


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