novel*その他

□鐘を鳴らして
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君と離れた。自分から。
望んだわけではないけど、例えふたりが合わさったとしても適わない輝きがあると知ったから。

いや、違うかもしれない。
彼の存在で君がより強い存在になるのなら、自分じゃ適わないから。
だから身を自ら引いてしまったのかもしれない。

だけど、自ら身を引いたのに自分は無意識に君を探して。君が一緒だった時の自分を探して。

幾千の、とまではいかないけど、君のいない夜を歩いた。

互いに向き合ってきた存在。
だから君に背を向けて久しく。すごく変な感じなんだ。

影を隠す満天の星空が寂しい。

光は影の、影は光の果てまで付いて行くのだろう。それが世の理で。
でもふたりは離れた。
これの意味することは何?

光のなくなった影。影のなくなった光。
光がなくなったらきっと全てが影と化して何も映らないだろう。
影がなくなったらきっと何も映さないだろう。
ふたつが合わさって見えてくる世界全てが、今の自分には何も見えない。

きっと君は僕は全て許すだろう。そして自分は許された者になるだろう。
それは君あってのものなのだろうに。

互いに遠いようでまったく遠くない。そう遠くはない。
君が君らしくあること。すると何故だろう、君は孤独になる。

光は影の、影は光の果てまで付いて行くのだろう。
雲が陰って空が泣いたら、僕はここにいるよと、鐘を鳴らして君を捜すよ。

わかったから。
離れてみて、漸くわかったから。君と僕のこと。
世界は白か黒で。
光と影があって。
僕と君がいて。

例え僕以外の誰が君といても。
必ず。必ず自分のモノにするから。



覚悟しとけよ


――黒子

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