novel*その他

□...Your name
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無意識に「紅蓮」と呼んでしまった。
今の自分は、それを口に出すことを禁じられているというのに…。

今の紅蓮は自分が知っている以前の紅蓮ではない。
勾陣はその紅蓮を自分が生まれる前の騰蛇だと言う。
だけど自分はその"騰蛇"を知らない。
だからこんなにも動揺するのか。だからこんなにも胸が苦しいのか。

"騰蛇"の言葉はまるで一文字一文字が刃の如く己の胸にぐさりと突き刺さった。

紅蓮と呼んで、騰蛇の口から発せられた言葉は、傷付いた己の心を壊すには十分な威力を持っていた。

「お前風情が、その名を呼ぶな」


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